ヴァインベルグ/室内交響曲第1,3,4番
ラクレフスキー指揮/クレムリン室内管弦楽団
(claves CD 50-9811)



Amazon.co.jp : Mieczyslav Vainberg: Chamber Symphonies 1, 3, 4

HMV : Vainberg Chamber Symphonies icon


モイセイ・ヴァインベルグ(1919〜1996)という作曲家が、近ごろ気に入っています。
ポーランド生まれのユダヤ人ですが、1939年のナチスのポーランド侵攻でソ連に避難
(両親と兄弟は全員ナチスに殺害されてしまったそうです!)。
以後はソ連で、ショスタコーヴィッチなどに援助されつつ作曲家として活動するものの、
ユダヤ人嫌いのスターリン政権から、かなりの迫害を受けたようです。
1953年には、政府転覆を図った罪で(もちろん無実)とうとう逮捕され、
あわや死刑かシベリア流刑かというところで、スターリンが急死。
あっさり無罪放免になったというのですから、けっこう運が強い人かも。

作品は19の交響曲、7つのオペラ、17の弦楽四重奏曲など、兄貴分のショスタコを上回る多作ぶりです。
作風は、ショスタコーヴィチとプロコフィエフを足して2で割ったような感じですが、
ロマンティックで叙情的な味わいは、二人の先輩にはないもの。
ポーランドで20歳までを過ごしたことから、根本はロシアではなく欧州に立脚しているように思えます。
CDの解説には、ユダヤ的なメロディも良く使われる云々とあるのですが
私にはあんまりわかりません・・・ (-_-;)

晩年に、弦楽合奏主体の4つの室内交響曲を書きました。
(これらを含めれば交響曲は全23曲!)。
このディスクには、その中から第1,3,4番が収められています。
ヴァインベルグのエッセンスが凝縮された一枚といえます。
第1番は、ディヴェルティメント風の軽やかな音楽で、初期のプロコフィエフを連想させます。
とくに第4楽章プレスト、「古典交響曲」を思わせる手堅いフィナーレです。

 ヴァインベルク:室内交響曲第1番・第1楽章
 

第3番の第1楽章はメランコリックなメロディの美しさが印象的。「エレジー」って雰囲気です。
第2楽章スケルツォ。ショスタコの最良のスケルツォ楽章と互角に張り合える完成度。
重々しい第3楽章を経て、フィナーレが軽い感じのワルツ楽章というのは、ショスタコーヴィチの「ピアノ五重奏曲」を思わせます。
中間にバロック的なフレーズが顔を出すなど、シュニトケっぽい感じもします。

 

第4番は、弦楽合奏とクラリネットのための単一楽章の作品。
この曲は、何となくユダヤっぽい感じがしますね(よくわかってませんが)。
良く言えば狂詩曲的、悪く言えば散漫な印象で、ちょっとつかみどころがないかな?
収録曲の中では、一番現代音楽風です。

 

非常に手堅い手法で、「聴かせる」作曲家です。腕の確かな人ですね。
あえてわかりやすい言い方をするなら、
「リリックなショスタコーヴィチ、あるいは、センティメンタルなプロコフィエフ」
って感じかな、と思いますです。

なおヴァインベルグの作品は、イギリスのオリンピア・レーベルからたくさんリリースされています。

(02.6.8.記)


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