ヴァインベルク/交響曲第20番、チェロ協奏曲
(スヴェドルンド指揮 エーテボリ交響楽団 クラース・グンナルソン:チェロ)




Amazon.co.jp : Weinberg : Cello Concerto/ Symphony No. 20

Tower : Weinberg Cello Concerto / Symphony No.20


先日、次女が16歳になりました。
誕生日は家ですき焼きをむさぼり食う肉食家族。

しかしこの子が16歳とは・・・この間まで赤ちゃんだった気がするんですけど。
いまやニョウボを見降ろしています(身長170cm)!

こういうときは

 「・・・なるほど、私も歳を取るわけだ」 

としみじみつぶやくのが定番。
しかし本音を言えば、自分としてはたいして歳とった気がしないのです。
子供が小さかったころ同様、まだ若いつもりです。
なので素直にそう言うと、

 「えー、そんなことないよー!」

 「しっかり老けてるよー!!」


二人の娘に明るくきっぱり否定されました・・・(泣)。


さて、シャンドス・レーベルヴァインベルク・シリーズの新譜は
「交響曲第20番 作品150」
世界初録音です。 これは聴き逃せません。

「おとーさんが死んだら、このCDの山、どうしたらいいの?」
という声にめげず、早速購入しました、まだ死なんわい!

「交響曲第20番 作品150」(1988)は、ヴァインベルク(1919〜1996)の最後から2番目の交響曲。
クローン病に苦しみながら書いたとのことですが、抒情と緊張感にあふれた美しい作品で、創作力の衰えは微塵も感じられません。

緩ー急ー中ー急ー緩 のシンメトリックな5楽章構成、約40分の大曲です。
現代的なところはなく、過去のヴァインベルク作品と比べてもむしろ保守的なほど。
プロコフィエフ・ショスタコーヴィチ路線に回帰した、懐古的な響き。
こういうアナクロなところが、シュニトケグバイドゥリーナに比べて再評価が遅れた一因でしょうけれど、
ヴァインベルクの老練な職人技は随所で光り、聴きごたえはBIGであります。

第1楽章アダージョ〜メノ・モッソ
瞑想的で抒情的なオープニング。
地味ですが、楽器間のバランスの妙、音色の微妙な変化のニュアンスが味わい深いです。
どんな場面でも表現過多な押しつけがましさとは無縁な、素晴らしい楽章。

 

第2楽章アレグレットはスケルツォ風の三部形式。
闊達で身振り豊かで、あちこちに才気に満ちた仕掛けが施されています。

 

第3楽章コン・モートは、低音弦のピチカートの上で管楽器がさえずるバレエ音楽のように始まる間奏曲。
浮遊感のあるヴァイオリンのフレーズが素敵。

 

第4楽章アレグロ・モルトは荒々しいティンパニの連打、金管の咆哮に始まるエネルギーの爆発。
超カッコイイ!!

 

フィナーレ・第5楽章は13分にも及ぶレント。
弦楽器主体の透明で悲痛な哀歌、中間部にはアルト・フルートの瞑想的な長いソロがあり、最後はハ長調の主和音でおごそかに閉じられます。
チャイコフスキーの悲愴交響曲のフィナーレにも負けない慟哭と哀愁が暗黒オーラを放ち、虚空の彼方へ消えてゆきます。

 

いやー、これはいい曲だわ。
ロシア系交響曲ファンには大推薦。
はじめてヴァインベルクを聴かれる方にも安心してすすめられます。


「チェロ協奏曲 作品43」(1948)は、確かこれが4番目の録音。
20世紀のチェロ協奏曲では、隠れた人気曲になりつつあるのかも。
全編にあふれるユダヤ的な哀愁の歌にただただ魅了されます。
これまた古典的で、素直な直球勝負の作品であり、ショスタコーヴィチやプロコフィエフの協奏作品のように斜に構えたところや超絶技巧には乏しく、
ちょっと食い足りないかも知れませんが、とにかく綺麗で聴きやすい。

 (このCDの録音ではありません)

しみじみ系チェロがお好きな方には超オススメです。

(2012.7.1.)

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