ヴァインベルグ/交響曲第6番 イ短調




Amazon.co.jp : Vainberg: Symphonies 4 & 6

Tower@jp : VAINBERG:SYMPHONY NO.4/NO.6

モイセイ・ヴァインベルグ(Moisei Vainberg)(1919〜1996)という作曲家については、
すでにこんなところとか、あんなところとか、そんなところで書かせてもらってます。
しかしこの人、少なくとも日本では超マイナー、ほとんど知られてません。
どのくらいマイナーかというと、Google で「ヴァインベルグ」を検索すると、
この私のサイトが1番にヒットするほどですから、推して知るべし。 

それでもヴァインベルグのCD、現在十数枚以上発売されていて、ネットならどうにか手に入りますから、まあ便利な時代になったもの。

さて、ヴァインベルグの作品で、一番のお気に入りといえば、それは「交響曲第6番(1963)でございます。

CDはオリンピア OCD471、コンドラシン指揮/モスクワ・フィル。
管弦楽プラス児童合唱という珍しい編成、全5楽章、42分の大作。
ショスタコーヴィチは初演を聴いて感激し、
「レニングラードで聴く機会があったら絶対聴き逃すな。昨日の初演はすごかったよ!」
と友人に書き送ったといわれています。

第1楽章アダージョ・ソステヌートは、管弦楽によるいわば前奏曲。
ヴァイオリンに出る息の長い旋律が、植物が増殖するように徐々にオーケストラ全体に広がってゆきます。
不安定にたゆたうメロディが美しく、深い哀愁を感じさせます。
ショスタコーヴィチの影響を受けていることは一聴瞭然ですが、ショスタコにはないロマンティシズムがふんだんに盛り込まれているのがヴァインベルグの特徴。

第2楽章アレグレットは、児童合唱の素朴で楽しげな響きが泣かせます。
ユダヤ人の伝統的な生活ぶりを歌っているらしいです(よくわからん)。

第3楽章アレグロ・モルトは、快活な中に狂気の見え隠れするスケルツォ。この交響曲の白眉です。
荒々しく疾走する音響、グロテスクでユーモラスな哄笑は、ショスタコーヴィチやプロコフィエフの傑作と比べても全くひけをとりません。
いやホントスゴイっすよ、この楽章の凶悪さは!

 

第4楽章ラルゴ、児童合唱が戦争の災厄を淡々と歌います。静かに鬼気迫ってきます。
続けて演奏される第5楽章アンダンティーノでは、合唱が子守唄のような安らぎのメロディを歌いますが、
曲の流れからするとこれは鎮魂歌ということになるようです。
静かに澄んだ川のように曲は進んでゆき、消えるように閉じられます。

全体をまとめると、遅い楽章ではメランコリックなメロディの美しさが心に沁み、
急速楽章ではその恐るべき迫力にタテ乗り状態で思わず踊り狂ってしまうほど。

ヴァインベルグはポーランド生まれのユダヤ人ですが、家族兄弟を全員ナチスに殺害され、
命からがらソ連まで逃げ延びた人で、戦争批判の作品が多いようです。
ソ連でもスターリン政権下でいろいろ迫害され、苦労多い人生を送りました。
もう少し人気が出れば、浮かばれるかな。

なおカップリングの交響曲第4番も、なかなかの名作です。

 

ショスタコーヴィチは、後輩作曲家たちの中で、このヴァインベルグのほかに
ガリーナ・ウストヴォルスカヤ(1919〜)、ボリス・チャイコフスキー(1925〜1996)なども
とても高く評価していました。
彼らももっと人気が出て欲しいなあ。

(03.12.24.記)

ヴァインベルク/交響曲の記事
 ヴァインベルク/交響曲第1番&第7番
 ヴァインベルク/交響曲第1番&チェロ協奏曲
 ヴァインベルク/交響曲第2番&室内交響曲第2番
 ヴァインベルク/交響曲第3番 ほか
 ヴァインベルグ/交響曲第4番、シンフォニエッタ第2番 ほか
 ヴァインベルグ/交響曲第5番、シンフォニエッタ第1番
 ヴァインベルク/交響曲第6番 ほか(フェドセーエフ指揮)
 ヴァインベルク/交響曲第6番ほか(ランデ指揮)
 ヴァインベルク/交響曲第8番「ポーランドの花」
 ヴァインベルク/交響曲第10番ほか(クレメラーア・バルティカ)
 ヴァインベルク/交響曲第12番「D・ショスタコーヴィチの思い出に」
 ヴァインベルグ/交響曲第16&14番
 ヴァインベルク/交響曲第17番「記憶」(フェドセーエフ指揮)
 ヴァインベルク/交響曲第17番「記憶」(ウラディミール・ランデ指揮
 ヴァインベルク/交響曲第18番「戦争、これより残酷な言葉はない」 ほか
 ヴァインベルク/交響曲第19番「輝ける五月」 交響詩「平和の旗印」
 ヴァインベルク/交響曲第20番&チェロ協奏曲
 ヴァインベルク/交響曲第21番「カディッシュ」ほか




「お気に入り音楽箱(クラシカル)」へ

「整理戸棚」へ

「更新履歴」へ

HOMEへ