ヴァインベルク/交響曲第7番、第3番ほか
(ミルガ・グラジニーテ=ティーラ指揮、バーミンガム市交響楽団ほか)



Tower : Weinberg Symphony No.7 & 3



ミルガ・グラジニーテ=ティーラヴァインベルク交響曲集、第2弾です。

交響曲第7番(1964)は、チェンバロと弦楽のための曲。
といってもそこはヴァインベルクですから、チェンバロ協奏曲的なものを期待してはいけません。
冒頭、足を引きずるようなチェンバロのつぶやきに続き、ヴァイオリンが寒々しいテーマを奏でます。
暗いよ〜、寂しいよ〜、なんか怖いよ〜。
この寂寥、諦念、内向的な抒情、いやあ、たまりませんねえ。

 第1楽章
 

全部で5楽章ありますが、第3楽章などはチェンバロは沈黙。
ミステリアスなメロディをピチカートが支えるこの楽章、いつとは知れぬ夜をどことも知れず彷徨う夢を見ているかのようで、麻薬的な魅力があります。

 第3楽章 アンダンテ (チェンバロ暇そう・・・)
 

第5楽章はフィナーレは、チェンバロのデジタル信号のような音でコソコソとせわしなげに開始されます。
1分40秒からチェンバロが音楽の流れを断ち切るかのように飛び込んできて、ますます不穏な雰囲気に。
焦燥感ただよう不吉な音楽、たまりませんねえ(←変)。
最後は力を抜いたように速度を落とし、静かに終わります、ミステリアス〜。

 第5楽章 アレグロ 
 

グラジニーテ=ティーラ盤はチェンバロの音が柔らかいこともあり初演者バルシャイや、シャンドス・レーベルのスヴェドルンド盤に比べて上品な感じです。
この柔和さを好ましいととらえるか、軟弱と思うかは聴く人の感性しだい。
こんなマイナーな交響曲をいろいろな演奏で聴き比べられることを素直に喜びましょう。
弦楽アンサンブルの精度は高く、弱音での繊細な表現がとても素晴らしいです。

交響曲第3番(1949、1959改訂)は、驚いたことに普通の交響曲です。
のどかで朗らかで、ヴァインベルクの作品とは思えないほどの明るさに頭がくらくらします。
実はこの曲は1948年の「ジダーノフ批判」で盟友ショスタコーヴィチがコテンパンにやられたことに震えあがったヴァインベルクが、
いわゆる「社会主義リアリズム」に忠実に、素朴で分かりやすい曲を書こうとした「強制された歓喜」作品。
それを知って聴くと、第1楽章の平明さもなにやら複雑です。

 第1楽章
 

グラジニーテ=ティーラの第1楽章は先行録音(スヴェドルンド盤)より遅めのテンポ、のどかで平和な雰囲気が際立ち能天気と言ってもよいレベル。
こ、これは高度な計算あってのことなのか・・・?
クライマックスをじっくり盛り上げていく手際は見事です。

第3楽章の哀歌は弦を澄んだ音でじっくり歌わせて美しいです。

 第3楽章
 

第4楽章は力強く前進するフィナーレ(ヴァインベルクらしくないなあ・・・)。
グラジニーテ=ティーラの演奏は手堅く盛り上がり、華やかに終わります。

2曲とも、過去の録音に比べるとおだやかな語り口で、すっきりとまとめられている印象です。

なおこのCDには、フルート協奏曲第1番(1961)も収録されています(収録時間80分以上!)
これまたあまりヴァインベルクらしくない軽妙優美・快活明朗な音楽ですが、とってもいい曲です!

 (このCDの演奏ではありません。)

ジャケットには、リトアニアの作曲家で画家のチュルリョーニスの「永遠」という絵画が使用されています。
ミルガ・グラジニーテ=ティーラはリトアニアの出身、故国の芸術家に敬意を表したのでしょうね。
でもヴァインベルクとはとくに関係ない気が・・・。

(2022.10.02.)

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