ヴァインベルク/室内交響曲全集・ピアノ五重奏曲(合奏版)
(クレメラータ・バルティカ 2017年 2枚組)



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ギドン・クレーメル率いるクレメラータ・バルティカミェチスワフ・ヴァインベルク作品集第2弾!
ちなみに第1弾は、「交響曲第10番」をメインとするチョー陰鬱で暗くて重い2枚組でした。
今回の第2弾は、室内交響曲(全4曲)に、ピアノ五重奏曲の合奏版をオマケに付けた、チョー陰鬱で暗くて重い2枚組です!
なんと合計160分!!

クレーメルはどうやらヴァインベルクにかなり入れ込んでいる御様子で、ライナーノートでも手放し絶賛状態。

 「数年前にヴァインベルクを”発見”したんだが、汲めども尽きぬ霊感の源を得たようなもんだね。
  オペラ、交響曲、室内楽、どのジャンルもチョー素晴らしいったらないんだ!
  我々のレパートリーに新たに加わった作曲家のなかで、これほど最高に凄い人はいないぜ!」
(←意訳です)

それってほかの作曲家に対してどうなのよと思わんでもありませんが、ヴァインベルク・ファンにとっては嬉しいお言葉です。


ミェチスワフ・ヴァインベルク(1919〜96)は、
交響曲第17番「記憶」
(1982〜84)、第18番「戦争、これより残酷な言葉はない」(1984)第19番「輝ける五月」(1985)の、
いわゆる「戦争三部作」を仕上げると、大規模な交響曲の作曲に一段落を付け、比較的小規模な室内交響曲シリーズに移行します。

室内交響曲は1986年から92年にかけて4曲が書かれました。
どれも弦楽合奏主体で、演奏時間は30分程度、標題はありません。
旧作の弦楽四重奏曲からの転用が目立ち、ショスタコーヴィチの室内交響曲を連想しますが、単純な編曲ではなく、加筆修正が多いです。

「室内交響曲第1番(弦楽のための)」は、弦楽四重奏曲第2番をほぼそのまま弦楽合奏に編曲したもので、4曲中最も親しみやすく、最初に聴くのにオススメです。
ただしCDではなぜか1枚目の最後に収められています。

 ヴァインベルク:室内交響曲第1番・第1楽章
 

1枚目の最初に収められているのは「室内交響曲第3番(弦楽のための)」
マーラーのアダージェットを思わせる美しいレントで幕を開け、弦楽四重奏曲第5番から転用したスケルツォが続き、
葬送行進曲のようなアダージョ、ひそやかに謎めいたアンダンティーノで幕を閉じます。
良い曲だけど、やや難渋です。

 

「室内交響曲第2番(弦楽とティンパニのための)」は、弦楽四重奏曲第3番を改作したもの(加筆され、長くなってます)。
激しくエネルギッシュな音楽で、室内交響曲ではいちばん盛り上がります。

 ヴァインベルク:室内交響曲第2番・第1楽章
 

「室内交響曲第4番(弦楽とクラリネットのため)」は、オリジナル作品。
「クラリネット協奏曲」と呼ぶにはクラリネットの活躍が少ないかな?
弦が描き出す荒涼たる草原を、ひとり旅するクラリネット
クラリネット吹きながら歩くスナフキンでも想像してください(←それ絶対変)
竜巻に翻弄されたり、ほかの旅人(独奏ヴァイオリン&独奏チェロ)と出会って、しばらく一緒に旅をしたりしますが、
いつしかまたひとりぼっち、さすらいの旅は果てしなく続く・・・みたいな光景が脳裏に浮かびます。


併録の「ピアノ五重奏曲」は、初期の傑作。
ここでは、ピアノと弦楽合奏と打楽器に編曲された版で演奏されます。
ピアノは2010年ショパン・コンクールの覇者ユリアンナ・アブデーエワ
合奏になるとどうしても鋭さというかアブナイ狂気が薄められる印象ですが、当然ながらスケールは大きくなり、ピアノ協奏曲感覚で聴くことができます
(ヴァインベルクはピアノの名手だったのになぜかピアノ協奏曲は書いてないんですよね〜)。

 ヴァインベルク:ピアノ五重奏曲 第5楽章
 

たいへん聴きごたえのある2枚組でした。
ヴァインベルクを初めて聴く方にもすすめられそうです。
室内交響曲第1番ピアノ五重奏曲から聴かれるのが良いかな。

(2017.01.22.)


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