ルーズ・ランゴー/シンフォニア・インテルナ
(フランス・ラスムッセン指揮 アーフス交響楽団 他 1998録音)
静かで綺麗で長〜い音楽がお好きな方にオススメ!
デンマークの作曲家ルーズ・ランゴー(1893〜1952)は、
交響曲第3番「若さの奔流」と並行して声楽と管弦楽のための5部分からなる大作を作曲。
1915年に「シンフォニア・インテルナ」として一応の完成を見たものの、
どこにも演奏してもらえず楽譜は机の中で長い眠りにつきました。
その後ランゴーは「天球の音楽」(1918)を書き、これはなんとか演奏にこぎつけました(あまりウケなかったけれど)。
しかし自信作・歌劇「アンチ・キリスト」(1923)は結局上演拒否の憂き目にあっています。
ランゴーは「シンフォニア・インテルナ」を40年代まで繰り返し改訂しました。
しかし存命中には演奏も出版もされることはありませんでした。
今のところこのCDが初めてにして唯一の演奏です。
曲は
1.東方の星
2.海と太陽
3.夢
4.天使たち
5.エピローグ
の5部分からなり、約65分。
歌詞は宗教的というか神秘的です。
第2部・海と太陽
(静かで美しい・・・)
水平線に朝日が昇る様子を描写するオーケストラ、つづいて1:42からソプラノが静かに歌い出します。
おお 暗く大いなる海よ あなたの深い瞳は私を引き込む
どれほど思索してもあなたを理解できないが 私はあなたの一部分だと感じる
あなたの笑み、鈍い怒り、そこに平穏はない
そしてあなたの不思議な声の奥底に何が存在するのか 誰ひとり知る由もない
いやー、美しいです、神秘的です、魅せられます。
ブラームスとマーラーの緩徐楽章を足して2で割って、R・シュトラウスを少々振りかけたような薫り高い音楽です。
しかしですね・・・65分にわたってずーっとこの調子なのですよ。
第3部・夢 より
(静かで美しい・・・)
第4部分・天使たち より
(静かで美しい・・・)
静かで美しい音の連なりが連綿と続きます。
まるで美麗さの金太郎飴。
もうちょっと変化があればと思わずにはいられませんが、天上と自然の神秘を音で描こうとすればこういう音楽になるんですかねえ。
これまで実演があったのかどうか知りませんが、聴衆は半分以上寝てしまうのではないでしょうか。
私は5分で寝ちゃう自信満々です。
しかしこのような極美の音楽をナマで聴きながら寝るのって最高に気持ちいいでしょうね。
エピローグは女声のみの無伴奏コーラスです。
エピローグ
(静かで美しい・・・)
湖や丘に金色の刷毛をふるいつつ夕べは沈みゆく
無音と無動と平穏のうちに 自然は静かなまどろみを送る
緑の海辺と湖面の輝きが 沈黙と混じり合う
麻薬的に麗しい幻想的な音世界。
ランゴーの傑作のひとつだと思います。
(2023.04.15.)
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