ルーズ・ランゴー/弦楽四重奏曲集 第3集
(ナイチンゲール四重奏団)




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<曲目>
弦楽四重奏曲 第1番 BVN68(1914-1915/1936改訂)
弦楽四重奏曲 第5番 BVN189(1925/1926-1938改訂)
弦楽四重奏曲 断章「イタリア風スケルツォ」BVN408(1950)

CD Trailer




思い返せば4年近くもぼちぼち練習しているバッハ「無伴奏チェロ組曲」
第1番から順番にやってきて、先日から第5番に突入しております。
もちろん、第4番までは完全にマスターした・・・・・・わけがありません。
振り返れば死屍累々、あれも弾けない、これも結局弾けなかった、でも先には行きたい困ったちゃんです。
それにしても第5番は(も)むつかしい、暗くて重々しいけどカッコイイ、カッコイイけどむつかしい。

 バッハ/無伴奏チェロ組曲第5番・プレリュード
 

・・・一生かかっても弾ける気しませんが、とりあえず毎日当たって砕けてます、ぐちゃ。


さて、ナイチンゲール四重奏団によるルーズ・ランゴー/弦楽四重奏曲全集がついに完結しました。
ドラマティックで鋭い面が目立つ第1集、優雅で明るい幸福感に満ちた第2集につづき、この第3集にはロマンティックで絶美な大曲がふたつ収められています。
しかしジャケットは相変わらず意味不明。
演奏者たちのポートレイトにしたらもっと売れるだろうになあ。

第1番は1915年、21歳の時に作曲された、4楽章37分にも及ぶ大作。

 37分ですよお〜!

まあ若い頃のランゴーといえば、70分近い交響曲第1番「岩の田園詩」を17歳で書くわ、
ヴァイオリン・ソナタ第1番は40分近くかかるわ、やたらと長大な曲を作る癖があるので仕方ありません。

 しかしこの曲の美しいこと。

優しく爽やかな旋律で幕を開け、やがてむせかえるような芳醇な響きに。
それがなだらかに繋がり、川のように流れてゆくのに身を任せる快さ。
しかしこの流れ、どこに向かっているのかさっぱりわからないのがランゴー流
響きは後期ロマン派風ですが、これといった形式がありません。
ソナタ形式と思ってついてゆくと、わけのわからない景色や初めて見る風景が次々に広がって戸惑います。
しかもそのどれもが美しくてみやびです。

 

この曲は1915年に作曲されたあと、1916年に一度演奏されただけで、出版されることもありませんでした
(ランゴーの弦楽四重奏曲で生前に出版されたのは第3番だけ)。
しかも1920年代後半に、何が気に入らなかったのか作曲者自身が第3,4楽章の楽譜を捨ててしまいます。
ところが1936年に残った楽譜を読み返したランゴー、
「もったいないことしちゃったかも」と思い直し、捨てた楽章を記憶をたどって作曲し直し、ついでに第1,2楽章にも改訂を加えました。

こうして見事よみがえった「弦楽四重奏曲第1番」は・・・・・・一度も演奏されることなく、その後ほぼ80年埋もれていました。
つまりこのCDの録音が初演奏でもあるわけです(ランゴーの曲はそういうのが多いです)。


第5番(1926)は、ランゴーの完成された四重奏曲としては最後のもの。
「旋律の自然な美しさ」「新鮮な音楽づくり」が好評を博し、生前に数回演奏されています。
20世紀に作られたとは思えない、優美でロマンティックな響きに耳を奪われます。
もちろん確信犯であり、「現代音楽の恐怖」に背を向けて、簡素かつロマンティックな曲を作ったとのこと。
例によって形式ははっきりしませんが、メロディと響きがこれほど美しければ、形式なんてどうでもいいという気にさせられてしまうほど。

 

ナイチンゲール四重奏団の演奏は、以前に出ていたコントラ四重奏団にくらべて、ロマン性・音の豊かさ共に2割増しって感じ。
録音が良いのも大きいかな、色気たっぷりのみずみずしい響きがとても魅力的。
こんな美女たちに自分の作品を美しく弾いてもらって、ランゴー氏、あの世でニヤけているのでは。


弦楽四重奏曲 断章「イタリア風スケルツォ」(1950)は、散歩から帰宅した後わずか30分で作曲したという短い曲。
晩年のランゴーらしい気まぐれでとりとめのない小品ですが、達人の一筆書きのような熟練の味わいがあります。


16曲ある交響曲はあまりにも個性的で素っ頓狂で、ちょっと近寄りがたい気もするランゴーですが、
弦楽四重奏曲には意外に人懐こい面があることに気づかせてくれた、素晴らしい全集でありました。

(2014.12.21.)






Rued Laggaard(1893〜1952)

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