ランゴー/ピアノ作品集 第2巻
(ベーリト・ヨハンセン・タンゲ:ピアノ)




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Tower@jp : Langgaard: Works for Piano Vol.2

<曲目>
組曲「夏の思い出」
深淵の音楽
アルバムの綴りT
夜の教会の庭で
アドラツィオーネ
ピアノ小品ホ長調
組曲「ブレーキンゲの夏の休日」


デンマークの天才偏屈作曲家・ルーズ・ランゴー(1893〜1952)の交響曲全集を2009年にめでたく完結させた
ダ・カーポ・レーベル

これで気が済んだかと思ったら、いったい何考えているんでしょうね、
さらに「天球の音楽」 「ヴァイオリン・ソナタ」 「オルガン曲集」などをつぎからつぎへとリリース。
追いかけるファンとしては、嬉しいような、「もうかんべんしてくれぇ」と言いたくなるような・・・。
このままいくと、ランゴーの作品全集が録音されてしまうのではないでしょうか(ひええ)。

今回ご紹介するのは「ピアノ作品集 第2巻」
第1巻が出たのは2004年ですから、ずいぶんゆっくりしたペースです。

 

ただ、これからランゴーのピアノ曲でも聴いてみるかという物好き、もとい奇特な、もとい好奇心旺盛な方にとっては、
この第2巻のほうがとっつきやすいんじゃないかと思います。
チャーミングで親しみやすい曲と、何が言いたいのかわけわからん曲の配分が絶妙なのです。
変人ランゴーの分裂的気質をじっくり味わうことができます。
そんなもん味わって楽しいかどうかはまた別の問題です。


組曲「夏の思い出」(1940)は、チャーミング・ランゴーの面目躍如たる佳曲。
鍵盤から夏の陽光がこぼれおちてくるようです。
作曲者名を伏せて聴かせたら、「シューマン?」と答える人が多いのでは。
あるいはグリーグ「抒情小曲集」に紛れ込ませても違和感なさそう。

ところが次の「深淵の音楽」(1921)は、ほぼ無調。
厳しく屹立する低音の和音、閃光のようにきらめく高音、リストのピアノ・ソナタを思わせるフレーズの執拗な反復。
もうCrazy & Vilolent !
極めてわけわからん曲ですが、問答無用で美しいです。
作曲者はこの曲に宗教的な意味を込めているそうですが、
わたしは海底にひそむ深海魚の姿を想像しながら聴きました。

「アルバムの綴りT」(1904)はランゴーが11歳で初めて書いたピアノ曲。
シューマン風に整ったオーソドックスな佳曲であり、楚々としたたたずまいがとても魅力的。
やっぱり天才。

「夜の教会の庭で」(1907)は、低音でうごめくトレモロが不気味な葬送行進曲。
やはり初期の曲なんですが、14歳でこんな妙なもの書くのがランゴーという人です。

「アドラツィオーネ」(1934)は、宗教的というか神秘的な意図が込められた曲らしいですが、
例によって意味はよくわかりません。
ハープを思わせるアルペジオと、讃美歌風のメロディが交錯する美しい曲。
最後のほうで突然激しくなるのは解説によると「天国に悪魔が乱入してきた」んだそうで、
交響曲第6番「天国強襲」と通じるものがありそうです。

「ピアノ小品 ホ長調」(1951)は、ランゴー最後のピアノ作品。
優雅でありながら厳粛、端正でありながら奔放、わずか2分余りの曲ですが、
分裂気質の作曲家ランゴーの最後のピアノ曲にふさわしい作品です。

組曲「ブレーキンゲの夏の休日」(1916)は、楽譜が一部失われ、後世の補筆が行われています。
基本的にチャーミング・ランゴーが前面に出た作品で、聴いて気持ちの良い綺麗な組曲。
ドビュッシーみたいな響きに凝った曲があるかと思えば、無窮動曲があったり、
スペインのフォリアを引用した可憐なワルツがあったり、バラエティ豊かです。


ところで、ランゴーのピアノ曲と言えば、組曲「昆虫館」という傑作(怪作?)があります。
第3巻には収録されるかな・・・。(←されました)

(11.10.20.)



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