サン=サーンス/チェロ・ソナタ第1&2番 ほか
(ローラン・ピドゥ:チェロ、ジャン・ユボー:ピアノ 1993録音)



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サン=サーンス(1835〜1921)は、長生きしたうえに筆が速かったので、実にたくさんの作品を残しました。
しかしむしろそのために軽く見られているかもしれません。

遅筆だったフランクに比べると「有難みが少ない」イメージがあるのでは。
しかし遅筆とは言い換えれば「仕事が遅い」ってこと、けっして褒められたものではありません。。
逆に速筆だからといって、いつもやっつけ仕事ってことはないはず・・・です・・・が・・・(「レクイエム」はちょっと怪しい)。

たとえば、サン=サーンスのヴァイオリン・ソナタ第1番は、フランクのヴァイオリン・ソナタよりそんなに落ちるでしょうか。
名曲だと思うんですけどね、形式的にも大胆で独創的だし。

ところでサン=サーンスが立派なチェロ・ソナタを2曲も残していることは、あまり知られていません。
どちらも良い曲ですが、とくに第1番の第2楽章は軽妙で可愛らしく、しばしば独立して演奏されることは・・・・・・ありませんね、なんでだろー。

 サン=サーンス:チェロ・ソナタ第1番 第2楽章
 

なおソナタ第1番は作品番号32で、つぎの作品33が有名な「チェロ協奏曲第1番」です。
いわれてみれば第3楽章には、チェロ協奏曲を予告するような激しさと華麗さが見て取れます。

じつは第3楽章は初演後に母親からボロクソにけなされたそうで、激高したサン=サーンスは楽譜を引き裂いて破棄。
自室にひきこもり八日間で新しく作曲しなおしたそうです。

 キ、キツイお母さんですね〜。

結果的に曲が良くなったのなら良いのですが(初稿は失われたので判定不能)。
サン=サーンスは、生後2か月で父親が亡くなり、女手一つで育てられたこともあり、けっこうマザコンだったそうです。
結婚生活がうまくいかなかったのはそのせいもあるとか。

チェロ・ソナタ第2番は、老年(1905年)の作で、30分を超える4楽章の大曲。
華やかで堂々たる第1楽章、スケルツォと変奏という独創的な第2楽章、
安定の美しさを聴かせるロマンツァ・ポコ・アダージョの第3楽章、
古典的な洗練と優美さが際立つ貫禄のフィナーレはどこかベートーヴェン風。
盛り上がりにも抒情性にも不足せず、円熟した技法でしっかり構成された作品ですが、一般的な人気はさっぱり。
どこかにサプライズというか、壊れたところ、突き抜けたところがあればよかったのかもしれません。
個人的にはブラームスのソナタより好きだったりします。

 サン=サーンス:チェロ・ソナタ第2番 第1楽章
 

併録のアレグロ・アパッショナート 作品43は、リサイタルなどで弾かれることも多い人気曲。
4分足らずの小品ですが、魅力的な主題、跳ねるリズム、華やかな技巧と三拍子揃った傑作です。

 サン=サーンス:アレグロ・アパッショナート 作品43(ジャクリーヌ・デュ・プレ)
 

チェロがお好きな方は、是非一度は聴いてみて! と言いたい曲ばかり。
・・・が、私が愛聴しているピドゥ/ユボー盤(エラート)はすでに廃盤の模様で残念。
それでも、聴こうと思えばYou Tubeで簡単に聴けますから、良い時代になったものです。

(2017.04.28.)

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