サン=サーンス/ピアノ五重奏曲、ギーズ公の暗殺、動物の謝肉祭
(Ensemble Musique Oblique  1993録音)




Amazon : Saint-Saens Quintette Op.14

今年2021年は、カミーユ・サン=サーンス(1835〜1921)の没後100周年!

 ・・・ですが残念ながらそれほど盛り上がってはいない模様。

ヨハネス・ブラームス(1833〜1897)とはわずか2歳違い。
ともに19世紀後半フランスとドイツの、ロマン派保守本流の大御所ですが、どうもサン=サーンスのほうが軽く見られているように思えます。
2033年のブラームス生誕200年にはクラシック音楽界が大盛り上がりする未来が見えるだけに・・・。

みなさん、サン=サーンスをもっと盛り上げましょうよ!
私も「白鳥」いっぱい練習して家族に迷惑がられるぞ〜(←やめとけ)。

それはそうとサン=サーンスは、「史上初めて映画音楽を書いた作曲家」でもあります。
1908年の無声映画「ギーズ公の暗殺」のための音楽です。
当時の映画音楽は映画館付きの音楽家(ピアニスト)が、場面に合わせてふさわしい音楽を即興で演奏していました。
しかしコメディ・フランセーズの名優を起用したこの映画の制作にあたり、はじめて専用の音楽が73歳のサン=サーンスに依頼されました。
これはその「史上初の映画音楽」の初録音となったCDです(意外と遅いな)。

それにしても良い時代になったもので、この映画はYou Tubeで見ることができます(全部で18分ほど)。
音楽は、Ensemble Musique Oblique が演奏したこのCDの音源を使用しています。

 (まあ正直何が何やらよくわかりませんが・・・)

ギーズ公アンリ1世(1550〜88)は、フランスでカトリックとプロテスタントが血で血を洗う仁義なき戦いを繰り広げていたユグノー戦争期のカトリック派の中心人物。
1572年にプロテスタントの大物貴族を襲撃し殺害、一般市民も巻き込む内戦になり一説には犠牲者3万人とか(サン・バルテルミの虐殺)
その後も武闘派として勢力を拡大し王位を狙うまでになりますが、最後は1588年フランス王アンリ3世の放った刺客によって暗殺されます。
このあたりは萩尾望都「王妃マルゴ」で読みました。
ギーズ公はマルゴの恋人でもありました。

 

歌劇や劇付随音楽をいくつも書いてきたサン=サーンスの音楽は流石に老練。
ただ映像の邪魔をしてはいけないと遠慮したのか、思わず耳を奪われるような印象的なフレーズに乏しいのがちょっと寂しい。

ピアノ五重奏曲イ短調 作品14 は、作曲者20歳の初期作品。
ピアノの無窮動的な激しい動きが特徴的な第3楽章プレストがとくに印象に残ります。

 

(2021.11.14.)

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