サン=サーンス/ヴァイオリン・ソナタ&弦楽四重奏曲全集(2枚組)
(シャルリエ:vn ユボー:pf ヴィオッティ四重奏団)



Amazon.co.jp : Saint-Saens: Str Qrts Nos 1 & 2 / Vln Pieces

HMV : サン=サーンス/ヴァイオリン・ソナタ&弦楽四重奏曲全集 icon

<曲目>
ヴァイオリン・ソナタ第1番 作品75
ヴァイオリン・ソナタ第2番 作品102
弦楽四重奏曲第1番 作品112
弦楽四重奏曲第2番 作品153
ほか


優雅にして流麗


暑いですね。。。
天気予報を見ていて、思わず「ひゃーっ!」と叫んでしまいました。
わが町の明日の予想最高気温、37度!
体温より高いじゃないですか!

こ、怖いよ・・・。
ホラー映画より天気予報のほうがよっぽど怖いよ、今年の夏は。

なのでさわやかに涼しげな音楽を。

サン=サーンス(1835〜1921)の、ヴァイオリン・ソナタと弦楽四重奏曲

まずはヴァイオリン・ソナタ第1番ニ短調
ほの暗い哀愁を帯びた第1楽章第一主題のクールでカッチョイイこと。
そして第二主題(1:35〜)を伴奏するピアノのアルペジオは涼しげな噴水のよう。
この主題はあとの楽章でも大きな役割を果たします。

 

第2楽章アダージョも、木陰でまどろむような涼しげな音楽。
軽やかで洒落たスケルツォを経て、一陣の風となって吹き抜けてゆくような快速フィナーレへ。
第4楽章フィナーレは無窮動風の主題によるロンド形式。
途中で第一楽章の第二主題が再登場(3:42〜)、この主題を展開しながら華麗なクライマックスを作り、
ヴァイオリンとピアノの見事なユニゾンで幕を閉じます。
クールに始まりますが、ラストは体温が2度は上がりそうな華やかで熱い名曲でした(あれ?)。

 第4楽章
 

フランクのヴァイオリン・ソナタに負けていないと思うのですが、フランクの半分も有名でないのが不思議でなりません。
知的で洗練されすぎたところが、ちょっと冷たい感じを与えるのかもしれません(←べつにフランクに知性がないというんじゃなくて)。
でも、そのひんやり感が真夏にはぴったりです。


ヴァイオリン・ソナタ第2番 変ホ長調は、第1番より地味ですが、がっしりと構築されたたくましい曲です。
こちらは涼しいというよりは、初夏の陽光のような、明るく暖かい爽やかさをたたえています。

 

弦楽四重奏曲は、2曲とも円熟期の作。
第1番は64歳、第2番に至っては84歳の作品なのですが、
ともに活き活きしたみずみずしさに魅了されます。

弦楽四重奏曲第1番の、ヴァイオリン・ソナタ第1番にも似た、ひんやりとした洗練と張りつめた緊張感はとても魅力的。

 第1楽章
 

そしてより味わい深いのは最晩年の第2番
優しく透明、シンプルで無駄のない3楽章の小さな音楽です。
でも、中にはたくさんの大きなものが詰まっている気がします。
ドラエモンのポケットみたいな曲ですね(なんじゃそりゃ)。
同じく最晩年の大傑作、管楽器のための3つのソナタに通じる、
天才が到達した融通無碍・自由自在な境地を賞味しない手はありませんのであります(←ややこしい)。

 第3楽章 アンダンティーノ〜アレグロ・コン・モート
 
天国的に澄み切ったフィナーレです。

(10.8.1.)


その他の「サン=サーンス」の記事
サン=サーンスのピアノ協奏曲
サン=サーンス、イザイ/珍しい編曲集
サン=サーンス/管楽器のための3つのソナタ
サン=サーンス/ピアノ協奏曲全集(ジャンヌ=マリー・ダルレ独奏)
サン=サーンス/ピアノ協奏曲第4&5番(田中希代子)
サン=サーンス/ヴァイオリン協奏曲第3番
サン=サーンス/チェロ協奏曲第1番ほか(ソル・ガベッタ)
サン=サーンス/ピアノ五重奏曲、映画音楽「ギーズ公の暗殺」ほか
サン=サーンス/チェロ・ソナタ第1&2番
サン=サーンス/幻想曲、チェロとピアノのための組曲、ピアノ四重奏曲
サン=サーンス/レクイエム


「音楽の感想小屋」へ

「整理戸棚」へ

「更新履歴」へ

HOMEへ