サン=サーンス/幻想曲、チェロとピアノのための組曲、ピアノ四重奏曲
(ジェラール・プーレ:ヴァイオリン、イザベル・モレッティ:ハープ ほか)



Amazon.co.jp : Saint=Saens/Chamber Misic


先日、チェロの先生が出演する室内楽のコンサートがありました。

あまり知られてないけど親しみやすい曲を上手にチョイスしたプログラム。
ウォルフ/イタリアン・セレナーデとか、ハイドン/ロンドン・トリオとか、しみじみいい曲で、初めて聴くかたでも大丈夫です。
個人的にはヘンデル(ハルヴォルセン編)/パッサカリアロッシーニ/チェロとコントラバスのための二重奏曲をナマで聴けたのが収穫でした。
しかしコントラバスが技巧的なパッセージをバリバリ弾くのって、ハンパなくカッコイイな(大変そうだけど)。

 ヘンデル(ハルヴォルセン編):パッサカリア
 

 ロッシーニ:チェロとコントラバスのための二重奏曲・第1楽章
 

ところで室内楽ってクラシック・ファンの間でも敷居が高いというか、言ってしまえば地味というか、イマイチ人気がありません。
私は歳のせいか、でっかいオーケストラが大音響ぶちかます音楽聴くと疲れてしまい、年々室内楽や独奏曲が好きになっております。
室内楽にも綺麗で親しみやすい曲はたくさんありますよ〜。
たとえば、こないだ「チェロ・ソナタ集」をご紹介したばかりのサン=サーンスなんて、美しい室内楽曲の宝庫と言ってもよいくらい。
このCDはそんな彼の室内楽の隠れた名曲をあつめたナイスな1枚。


 サン=サーンス/ヴァイオリンとハープのための幻想曲、チェロとピアノのための組曲、ピアノ四重奏曲


以前から愛聴しているCDです、チョー自信を持ってオススメ・・・・・・と思ったらなんと、絶賛廃盤中ではありましぇんかーマイケルシェンカー!
うー、素敵なアルバムなんだけどなあ。
でもまあ今は、聴こうと思えばたいていの曲は You Tube で聴けますからね。

ヴァイオリンとハープのための幻想曲 作品124 は、
老境に入ったサン=サーンスが興のおもむくまま自由自在に作ったような、即興性あふれる12分の曲で、「天才の一筆書き」の趣があります。

 

この曲、どこを切っても美麗なメロディがダダ漏れですが、私がとくに好きなのは、下の動画のこの部分から。
バロック風の哀愁フレーズを、ロマンティシズム全開であざとく盛り上げていく手腕、たまりません。
   ↓
 (このCDの演奏ではありません)


チェロとピアノのための組曲 作品16 は若くて元気の良いサン=サーンスの才気が横溢した充実の作品。
とくに第5曲「フィナーレ」にこめられた熱気と情熱は沸点越え!
のちに書かれた2曲のチェロ・ソナタより聴きごたえがあるほどです。

 チェロとピアノのための組曲より「フィナーレ」 (ベートヴェンを思わせるような骨太でたくましいフーガ!)
 

ピアノ四重奏曲 作品41 も、チョーいい曲。
とくに第2楽章アンダンテ・マエストーソの堂々たる悲劇性に魅了されます。
この楽章、無茶苦茶カッコイイと思うんだけどなあ。

 ピアノ四重奏曲 作品41第2楽章
 

ほかの楽章もいすれも粒ぞろいで、聴く者の耳をとらえて離しません。
シューマンやブラームスのピアノ四重奏曲の半分も有名でないのが納得いきません(動画も少ない・・・)。
あまりにもキャッチーで誰にでも楽しめるのが、かえって良くないのかな。
多少難解で近寄りがたい雰囲気をかもしだしておいたほうが有難味があったかも。

とにかく、サン=サーンスの室内楽曲は私にとってはナイス・ミュージックの宝庫なのであります。

(2017.05.27.)

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