バッハ/無伴奏チェロ組曲 
(モーリス・ジャンドロン 1964)



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バッハの無伴奏チェロ組曲のCDが、いつの間にか増えています。
通常CDが勝手に増えることはないので、おそらく私が買っているのでしょう。
ああ、これは・・・・・・。
「同じ曲のCDを何種類も買って悦に入る」という、クラシックを聴かない人には意味不明な、ときに気味悪がられる行動パターンではありませんか。
でも、どの演奏にもそれぞれ特徴があり個性があるのですよ〜、同じじゃないんですよ〜、わかってくださいよ〜 (←やっぱり気味悪い)

いろいろ聴いてきましたが、いま最も気に入ってるのが、モーリス・ジャンドロンの録音(1964)です。

モーリス・ジャンドロン(Maurice Gendron,1920〜1990)は、フランスのチェリストで、アランドロンの親戚・・・というのは嘘です。
ドロンジョさまのイトコ・・・というのも嘘です。
パブロ・カザルスの直弟子であります、これはホント。
ピエール・フルニエ(1906〜1986)、ポール・トルトゥリエ(1914〜1990)と並ぶ20世紀フランス・チェロ界の巨匠ですが、
二人にくらべるとちょっと地味な存在で、現役のCDも多くなく、あまり聴いたことがありませんでした。

 しかし、この「無伴奏」は素晴らしいですっ!

無伴奏チェロ組曲の演奏解釈は大きく分けて、
テンポ・強弱・表情を濃くして自分の個性を前面に出す「濃厚個性派」タイプと、
バッハの音楽そのものに語らせてあまり自分の味をつけない「天然無添加」タイプがあります。

「濃厚個性派」タイプの代表はミッシャ・マイスキーの1999年盤
テンポは揺らすわ、強弱の幅は大きいわ、勝手な装飾音つけまくるわ、「ここまでやるか!」と言いたくなる大胆な演奏。
「バッハの無伴奏」というより「マイスキーの無伴奏」と呼ぶべきです。
しかし確信に満ちた語り口、ほとばしる表現意欲は説得力たっぷり、圧倒されながらつい納得させられてしまいます。

そういえばこないだ聴いたニーナ・コトワの録音も、相当個性的で濃かったです。

いっぽう、「天然無添加」タイプの理想ではないかと思うのがジャンドロン盤なのです。
テンポはほとんど揺らさず、折り目正しく正確無比。
本当に正確でありまして、各音符の音価をしっかり揃え、複雑な重音もほぼきっちり楽譜通りに弾いています。
じつはあんまりないのですよ、そういう演奏。
なにも足さない、なにも引かない、バッハが楽譜に書いたとおりを音として具現化することに全霊を捧げています。
重い曲でも深刻な表情になりませんし、華やかな曲もクールにさらりと仕上げます。

ならば変化に乏しい薄い演奏かと言えば、全然違います。
フルニエの重厚はありませんし、トルトゥリエの豪放もないですが、
ジャンドロンはしなやかで洗練され、自由闊達でよどみなく、良い意味で「軽さ」「余裕」が漂います。

 バッハ/無伴奏チェロ組曲第1番
 

すっかり感化されて、最近はこればっかり聴いています。
もう神棚に祀って拝みたいくらい。

(2014.11.7.)


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