バッハ/無伴奏チェロ組曲(ヴァイオリン版)
(レイチェル・ポッジャー 2019年)



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バロック・ヴァイオリニスト、レイチェル・ポッジャーの新しいアルバムはバッハの無伴奏

といっても「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ」ではなくて(すでに録音してるし)、
「無伴奏チェロ組曲」をヴァイオリンで弾いてみました、という2枚組です。
こういうの流行りなのでしょうか、つい先日はヴァインベルクの「無伴奏チェロのための24の前奏曲」をギドン・クレーメルがヴァイオリンで弾いたCDが出たばかり。

うーむ、ヴァイオリニストがチェロのレパートリーを侵食しつつあるぞ・・・。
チェリストのみなさんも対抗して、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲やサラサーテのチゴイネルワイゼンをチェロで弾きまくってはいかがでしょうか?


 もうやってました
    ↓
 


どうやらお互いさまのようですね。

ところで、バッハの無伴奏チェロ組曲をヴァイオリンで弾いたCDはこれが初めてだそうです。
ちょっと意外です。
まあはっきり言って、ヴァイオリニストにとってはテクニック的に物足りないのでしょう。
それでも音楽としてはたいへん素晴らしいので、このリリースは嬉しいです。

 

当然ながらヴァイオリンだと、線が細くて透明感のあるクールな響きに。
作品のもつ別の魅力に気づかせてくれます。
たとえば「第4番・プレリュード」、チェロだと重厚な響き・唸る低音にシビれる一曲ですが、ヴァイオリンだとサラリサラサラ流れてゆきます。
5度移調されているせいもあるかもしれませんが、「こんなに軽やかな音楽だっけ?」と、耳が洗われる思い。

 第4番・プレリュード
 

 原曲(チェロ版)
 

・・・・・・まるっきり別の曲みたいなんですけど。


「無伴奏チェロ組曲」は、「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ」とくらべ、どうしても重音が少ないですが、
逆にヴァイオリンの「単音の美しさ」を味わうには最適と言えます。
ポッジャーの演奏は随所に即興的な装飾音を入れたり、自由自在なフレージングや歌わせ方で、「無伴奏チェロ組曲」を練習中の私には、たいへん参考になります。

参考にはなっても私の腕ではそれを生かせないんですが・・・。

(2019.04.18.)

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