テレマン/無伴奏ヴァイオリンのための12の幻想曲
レイチェル・ポッジャー独奏




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人気バロック・ヴァイオリン奏者、レイチェル・ポッジャー2002年の新作は、テレマン「無伴奏ヴァイオリンのための12の幻想曲」です。
もともとポッジャーは、パラディアン・アンサンブルフロレジリウムなどのバロック・アンサンブルのヴァイオリニストとして活躍していたのですが、
1999年に、Chanel Classics からリリースした、バッハ「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ」でソロとしても名を売った人。
こんどはバッハの同時代者テレマンの無伴奏というわけで、これは期待できそうです。

このテレマンの無伴奏幻想曲、古くはグリュミオーの名盤(フィリップス)が知られていますが、他にはあまり録音に恵まれません。
バロック・ヴァイオリンによるディスクは、マンゼ盤(HMF)があるくらいでしょうか?
ちょっと寂しかっただけに、このリリースはうれしいです。

作品的にどうしてもバッハの無伴奏と比べてしまいますが、
バッハの作品が「峻厳」「荘重」「重厚」「寝転がって聴いたら怒られそう」なのに対し、
テレマンは「優しげ」「優雅」「軽やか」「聴き流してもOKよ」と言えるのではないかと思います。
どちらか上とか下とかいう問題ではありません。
バッハの無伴奏が高級ステーキなら、テレマンの無伴奏は極上の手打ちそば。
バッハがでっかい油絵なら、テレマンはしゃれたリトグラフです。

ポッジャーの演奏はのびやかで流麗、音もとても綺麗です。
残響豊かな録音も聴きやすくてGOOD。
もともとポッジャーはバッハを録音する以前から、テレマンのこの曲を録音したかったということで、愛着のある作品なのでしょう。 

 無伴奏ヴァイオリンのための幻想曲 第1番
 

重音やフーガ風の部分もあるものの、単旋律が主体の音楽。
しかし単音のメロディで聴く人をひきつけるほうが難しいのでは、と思ったりもするんですよね(作曲するのも演奏するのも)。
深刻さなどかけらもない音楽です。しかしこういう音楽を屈託なく楽しみたいものだと思います。

 無伴奏ヴァイオリンのための幻想曲 第7番
 

(02.6.13.記)


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