テレマン・エディション(10枚組)



Amazon.co.jp : Telemann Edition

Tower@jp : G.P.Telemann Edition<完全生産限定盤>



ゲオルク・フィリップ・テレマン(1681〜1767)の作品を集めた10枚組ボックス・セット。
前半の5枚に、代表作の一つ「忠実な音楽の師」全曲が収められています。

「忠実な音楽の師」ってタイトルおもろいし、なんとなく興味があり、十数年前の初出時に買おうかと思ったのですが、当時は5枚組で一万円。

 「ちょっとなあ〜。」

と、諦めた記憶があります。
それが10枚組でこの値段なんて!
感謝カンゲキ、もう即買いであります。

ゲオルク・フィリップ・テレマンは、J・S・バッハと同時代に同じドイツで活躍した大作曲家。
バッハとは親交があり、バッハの次男カール・フィリップの名付け親になったりもしてます。

生前テレマンは圧倒的な人気を誇りました。
当時ライプチヒの新聞が作曲家の人気投票を行ったところ、1位はテレマン、2位がヘンデル、J・S・バッハは7位だったそうです。
バッハさん、ライプチヒ市の楽長だったんですけど・・・・・・。

バッハが自分の芸術的信念を貫き、ときに同時代人には理解困難な作品を残したのに対し、
テレマンは当時の消費者(市民階級)の好みを見ぬき、彼らに「ウケる音楽」「売れる音楽」を書き続けました。
どっちが上でどっちが下、と決め付けるものではないでしょう。
バッハが芥川賞系純文学作家なら、テレマンは直木賞系エンタテインメント作家みたいだなあとは思いますが。

またテレマンは商才も素晴らしく、若い頃から自作の楽譜は自分で出版し、富を築きました。

「忠実な音楽の師」は、1728年から29年にかけて、隔週で25回にわたって出版された楽譜集です。
世界初の定期刊行の音楽雑誌であり、アイディアマン・テレマンの面目躍如。

音楽愛好家のための新作楽譜をいろいろ掲載し、内容は合奏曲、独奏曲、二重奏、歌曲などじつに多彩。
もちろんテレマンの作品が一番多いですが、ほかにもアマチュアからの公募作品や、バッハ、ゼレンカ、ピセンデルなどの作品も掲載されました。
彼らは、音楽を愛する人々のために無償で曲を提供して欲しいというテレマンの要請に協力したのですが、
・・・ま、要はうまいこと利用されたわけですね。

 テレマン「忠実な音楽の師」から無伴奏ヴィオラ・ダ・ガンバ・ソナタ第2楽章
 

さらに巧妙なことに、ソナタは途中の楽章まで掲載し、続きは次号、なんてこともやっています。
なんという商売上手! ビジネスマンの鑑であります。

 テレマン「忠実な音楽の師」からチェロ・ソナタ
 

これで曲がつまらなければ「この悪徳商人が!」と言いたくなるところですが、さすがは人気投票第1位、
親しみやすく洗練されたチャーミングな作品ばかりで、こりゃ売れるのも当たり前。
CD5枚分もありますが、どこから聴いてもよし、途中でやめてもよし、大変気楽です。
このところ、寝る前にベッドの中で聴いています。

けっこう技巧的な曲もあり、当時のアマチュア音楽家のレベルの高さをうかがわせます。
18世紀は音楽を聴きたければ、自分で弾くか誰かに弾いてもらうしかなかったわけですから、自然に上手になる・・・のかな。

10枚組のうち残りの5枚は、まだ聴いてないんですが、管弦楽曲、協奏曲、無伴奏フルートのための幻想曲など、どれも楽しそうです。

(2013.5.20.)


 テレマン「忠実な音楽の師」からバスーン・ソナタ ヘ短調
  


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