C・P・E・バッハ/ヴァイオリン・ソナタ集
寺神戸亮(ヴァイオリン) シャレフ・アド=エル(チェンバロ)


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え、この名盤が1050円ですか?!

ヨハン・セバスチャン・バッハ(1685〜1750)は、20人もの子供を作りました。どひゃあ。
そのうち半分は幼くして亡くなってしまうのですが、それでも10人。
育児にはお金がかかるもの、ライプツィヒ聖トマス教会の合唱長だったバッハは、
葬式で音楽を演奏して臨時収入を得ていたそうで、このような手紙が残っています。

「いつもより葬式が多い年は、それに応じて臨時収入も増えますが、ひとたび健康な風が吹くと収入は減り、
 たとえば昨年は、葬式によって得られる収入が、百ターラー以上も少なかったのであります。」
(エールトマン書簡より)

バッハさん、ライプツィヒ市民が死ぬたび、「まいどあり〜へっへっへっ」とほくそ笑んでいたのでしょうか。 
ちょっと怖いぞ(←喪黒福造のイメージ)。 

そんな苦労(?)をして育て上げた子供たちの出世頭は、
次男のカール・フィリップ・エマニュエル・バッハ(1714〜1788)。
26歳でプロイセン国王フルードリヒ2世の宮廷音楽家になり、父親を喜ばせます。
父の死後は、末の弟ヨハン・クリスチャンを引き取って面倒を見てます(ヨハンは後にロンドンで作曲家として活躍)
1767年、名付け親のゲオルク・フィリップ・テレマンが亡くなると、
あとを継いでハンブルグの音楽監督になり、一生を終えます。
今でこそ父親のほうが圧倒的に有名ですが、生前はC・P・E・バッハのほうが高名で、
作曲・演奏の両面で独創性を発揮、ハイドンやモーツァルトやベートーヴェンに影響を与えました。
しかも父バッハへの敬意を終生持ち続け、父親の指導があったから自分は成功することができたと言い続けました。

・・・ものすごくよくできた人ですね。 
絵に描いたような優等生、音楽史上まれに見る出来杉クンです。
実は大酒のみだったとか、ギャンブル狂だったとか、スカトロ話が大好きだったとか、
そーゆーツッコミどころ、破天荒なところがどこにもないじゃないですか。
真面目で立派な人なんだろうけど、一緒に飲みに行っても面白くないだろーなあ。
父親ほど人気がないのはこのせいですな、きっと(←違うって)

ところが、この人の音楽はとても面白いのです。
頻繁に変化するテンポや和声、大胆な転調で「多感様式」と呼ばれました。

ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタを4曲収めたこのCDは、可憐で聴きやすいですが、
ロ短調ソナタの第1楽章(トラック4)など、熱いものを聴かせてくれます。
ロマン派に片足突っ込んでるんじゃないかと思う部分も随所に見られるほど。
バロック・ヴァイオリンの第一人者、寺神戸亮さんの演奏は素晴らしく、しかもたっぷり75分収録。 
これで1050円はオトクだなあ。

 C・P・E・バッハ:ヴァイオリン・ソナタ ニ短調 より
 

(07.1.26.)

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