ヨハン・クリスチャン・バッハ/6つのソナタ 作品5
(ソフィー・イエーツ:ハープシコード)



Amazon.co.jp : J.C.Bach/Six Sonatas Op 5

HMV : J.C.Bach/Six Sonatas Op.5 icon

Tower@jp : J.C.Bach/Six Sonatas Op.5

このCDジャケットを見て、

 「民主党の岡田克也副総理、何のコスプレしてるの?」

と思われたかたはいませんでしょうか(←いねえよ)。



これは岡田副総理ではなくて、ヨハン・セバスチャン・バッハの末息子、ヨハン・クリスチャン・バッハ(1735〜1782)の肖像画なのです。
じつは岡田副総理にはバッハ家の血が流れていたんですね(←違う)。

ヨハン・クリスチャン・バッハは、15歳で父バッハが亡くなると、
バッハの次男である腹違いの兄、カール・フィリップ・エマニュエル・バッハ(1714〜1788)に引き取られ、教育されました。
面倒見の良いお兄さんですねえ。

20歳で兄のもとを離れイタリアへ。
ミラノ大聖堂のオルガニストをつとめたり、ボローニャの名音楽教師マルティーニ神父に師事したり、ナポリでオペラを作曲したりの武者修行人生。
1762年、ヘンデルみたいにイギリスで一旗あげるべえとドーヴァー海峡をわたりみごと成功、
時代を先取りする新しいスタイルの作曲家としてロンドンで人気を博しました。

ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756〜1791)が彼になついていたことは有名。
1764年、8歳のモーツルトがロンドンを訪れた際、J・C・バッハはこの20歳年下の少年をを大変かわいがり、
膝の上にのせて一緒にクラヴィーアを弾いて遊んだといいます (ちょっと少年愛っぽい?)。
このときモーツァルトはイギリスに1年4カ月も滞在、少年期のモーツルトにいちばん大きな影響を与えた作曲家はJ・C・バッハであると言われます。
つまりJ・C・バッハの「新しいスタイル」は、モーツァルトに受け継がれたのです。

さて、そんなヨハン・クリスチャン・バッハ「6つのソナタ 作品5」(1766)は、浮き浮きした明るい気分の華やかな曲が多く、「モーツルトそっくりー!」と言いたくなるほど。
でも実際はモーツルトのほうがJ・C・バッハをお手本にしたのです。
なおモーツルトは、このソナタ集から3曲を選んで、ピアノ協奏曲に編曲しています。

全6曲のうち5曲までが長調であり、屈託のないチャーミング曲が並びます。
優雅で上品でコケティッシュ、岡田副総理似のコワモテ顔のオッサンが作ったとは思えません。

  Sonata Op.5-1 第1楽章 アレグレット (初期モーツァルトに通じる可憐な曲)
 

ただし最後の第6番だけはハ短調でしかもバロック風、父親をほうふつとさせる「前奏曲」「フーガ」に、
クープランかと思うようなフレンチ・ロココな楽章が続くという、なに考えてるのか分からん曲で面白いです。

  Sonata Op.5-6 第2楽章 フーガ (父親が得意としたフーガ!)
 

  Sonata Op.5-6 第3楽章 アレグレット (知らずに聴いたらクープランかと思います)
 

ソフィー・イエーツの演奏は、ふくよかで流麗でなんとなく知的(←なんとなくかい!)、残響たっぷりのアコースティックな録音がいつもながら心地良いです。

(2012.2.20.)


その他の「ソフィー・イエーツ」の記事
 イェーツ(ソフィー)
 バッハ/ヴィヴァルディの協奏曲からの編曲集(ソフィー・イェーツ)
 ヘンデル/ハープシコード組曲(ソフィー・イエーツ)
 ラモー/クラヴサン曲全集(演奏:ソフィー・イェーツ)
 イエーツ( ソフィー)/想像力の喜び〜18世紀イギリスのチェンバロ作品集
 イエーツ(ソフィー)/イギリスのヴァージナル音楽
 バルバトル/クラヴサン曲集(ソフィー・イエーツ)
 バッハ/イギリス組曲(ソフィー・イエーツ)
 フィッツウィリアム・コレクションからのチェンバロ曲集(ソフィー・イエーツ)
 アルマン=ルイ・クープラン/クラヴサン曲集(ソフィー・イエーツ)



「音楽の感想小屋」へ

「整理戸棚」へ

「更新履歴」へ

HOMEへ