ラモー/クラヴサン曲全集(Chandos)
(ソフィー・イェーツ:クラヴサン)

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ジャン・フィリップ・ラモー(1683〜1764)は、中島らもの御先祖として有名ですが(嘘です)、実は18世紀フランスで活躍した作曲家&音楽学者です。

フランスのクラヴサン(チェンバロ)曲としては、フランソワ・クープラン(1668〜1733)が有名ですが、
あまりにもお上品というか、洗練されすぎているように感じられ、私はちょっと敬遠。
似たような曲が続くうえ、量も多すぎます(CD10枚分以上)。 (クープラン・ファンの方には申し訳ないですが)

そこへいくとラモーのクラヴサン曲は、CD2枚分と、適度なヴォリューム。
クープランに比べると、ダイナミックでキャッチー、曲調も変化に富んでいて、退屈しません。
描写的な音楽が多いですが、ラモーのセンスは現代人の感性にもぴったりで古さを感じさせないところも魅力。

さて、チェンバロ奏者ソフィー・イェーツのCDでいつも思うのは、響きの素晴らしさ。
深みのあるアコースティックな音は、他のチェンバリストのCDとは一味違うように思えます。
サウンド・エンジニアは初期から一貫してGaly Coleという人が担当しています。 この人が腕利きなのかな?
もちろん、感性豊かで、かつ力強いイェーツの演奏あってこそですが。


  愛らしさの中に哀愁ただよう「鳥のさえずり(Le rappel des oiseaux)」(Vol.1 トラック15)
 

  リズミックでエネルギッシュな「タンブーラン」(Vol.1 トラック19)
 


  陽気で華やかで能天気なロンド「ソローニュの愚か者(Les niais de Sologne)(Vol.1 トラック22)
 

  鍵盤上を縦横無尽に駆け巡る、ノリノリの1曲「サイクロプス」。この曲大好き。(Vol.1 トラック28)
 

  「おほほほほほ!」という高笑いが聞こえそうな「勝ちほこる女(La Triomphante)」(Vol.2 トラック6)
 

  「コ・コ・コ・コ・コ」という出だしがそのまんまやないかの「めんどり(La Poule)」(Vol.2 トラック11)
 

  繊細でちょっとセンチメンタルな「エジプトの女(L'Egyptienne)」(Vol.2 トラック15)
 

ジャン・フィリップ・ラモーは、23歳でパリに出て「クラヴサン曲集・第1巻」(1706)を出版したものの、さっぱり売れず、
しょんぽり田舎に帰ってオルガニストとして食ってました。
しかし1722年に発表した音楽理論書「和声論」が評価されたのを機に再びパリに進出。
1724には「第2組曲」を出版、これもそれほど売れなかったけれど、コツコツ地道にがんばって、
1733年・51歳の時、オペラ「イッポリトとアリシー」でブレイク、その後オペラが立て続けにヒット、
63歳でルイ15世の宮廷作曲家に任命され、最後は貴族に列せられました。
成功を求めて都会に出てくる若者は、昔も今も変わりませんね。 夢をかなえた大器晩成のラモー、偉いなあ。

 サイクロプス(このCDの演奏ではありませんが、こりゃスゴイ、曽根麻矢子さんステキ!)
 


(05.12.16.)


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Sophie Yates

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