ソフィー・イエーツ/想像力の喜び〜18世紀イギリスのハープシコード音楽
(Sophie Yates/The Pleasure of the Imagination, 2016)



Amazon : The Pleasures of the Imagination

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疲れると、ふとチェンバロのCDが聴きたくなる春の夜です。
なんでもいいわけではありません。
金属的なキンキンした録音のものだと、かえって疲れることも。
まあ好みです、クリアでシャキっとした音のほうが良いという人もいるかもしれません。

個人的に「この音、良いわあ」と思うのが、シャンドス・レーベルの専属チェンバリストソフィー・イエーツの一連の録音。
柔かくて暖かい音、残響は多めで、ふわっとした香りに包まれたような優しい響きです。
あまりにも上品で美しい音なので、録音エンジニアがかなり腕を振るっているのではないかと想像します。
現実のチェンバロの音とは違うのかも知れませんが、聴いていて気持ち良いです。

イエーツの演奏のほうは、良く言えば知的で繊細、悪く言えば地味なんですが、ケレンハッタリのない真摯な弾きっぷり。
真面目で堅実な私にぴったりです(自分で言うか)。

そんなソフィー・イエーツの2018年現在の最新アルバムがこれ。

 想像力の喜び〜18世紀イギリスのハープシコード音楽 (2016)

ジョン・ブロウ、ジェレマイア・クラーク、ウィリアム・クラフト、モーリス・グリーン、リチャード・ジョーンズ、J・C・バッハなどの作品を時代順に収録。
バロックから古典派へのスタイルの移り変わりを耳で実感できる、なるほどなプログラム。
イギリス作曲家の作品集なのにあえてパーセルヘンデルを外すという、ひねくれ こだわりの選曲もグッド。
はっきり言って、知らない作曲家がほとんどです。

重厚な曲はなく、ニコニコした愛らしさを感じさせる作品ぞろい。
しかし他愛なさげな中にも、キッチリ凛とした格調を保っているのが見事。
とはいえ、曲はなんでもいいのです、彼女の粒立ちの良いチェンバロの音と、品位の高い柔らかな演奏が聴けるなら。

 ジョン・ブロウ/シャコンヌ (はきはきとした明るいシャコンヌ)
 

 ウィリアム・クロフト/組曲ニ短調より「クーラント」 (悲しみが駆け抜けてゆくようなクーラント)
 


(2018.04.23.)


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