フィッツウィリアム・コレクションからのチェンバロ曲集
(ソフィー・イエーツ 2017録音)



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フィッツウィリアム・コレクションと言っても、よほどの古楽ファンでなければ「なんのこっちゃ」でしょうけれど、
1560年〜1610年ごろに作曲されたいろんな作曲家の鍵盤曲の筆写本です。
時代的にはバロックよりも古く、ほぼルネッサンスです。



1816年にフィッツウィリアム子爵がケンブリッジ大学に寄贈したのでこの名があります。
筆写したのは音楽好きの貴族フランシス・トレギアン(1574〜1618)と考えられています。
この人、カトリック信者でイギリス国教を拒否したため投獄されちゃったそうで、この曲集は牢屋の中で筆写したんだとか(ヒマだったんでしょうね)。
ただし諸説ありで、トレギアン筆写説を否定する音楽学者もいるそうです。


 ジョヴァンニ・パオロ・コロンナ/ソナタ ニ短調 (元気のよいテーマによる活発なフーガ)
 

全部で約300曲収められていて、この時期の筆写譜集としては最大規模(よっぽどヒマだったんでしょうね)。
これでしか知られていない珍しい曲も少なくないそうです。
流行音楽の楽譜をたくさん取り寄せて筆写できたってことは、囚人とはいえそんなに厳しい生活ではなかったのかもしれません。
楽譜を筆写する目的と言えば演奏することなので、当然チェンバロも持っていたのでしょう、優雅な囚人だ。
酒は飲めたのかな、ちょっと気になる。

 ピーター・フィリップス/ガリヤード (「グリーンスリーブス」と似たメロディによる優雅な変奏曲)
 

ソフィー・イエーツ演奏のこのCDには15曲が収録されています(全部録音したらCD何枚になるのでしょう)。
名前も聴いたことのない作曲家がほとんどです。
肩の凝らない小曲が多く、17世紀初頭のイギリスではこういう音楽が好まれたんですね。
イエーツの演奏は例によって品があって優美、響きに華があり、聴き入ってしまいます。

 カルロ・フランチェスコ・ポッラローロ/ソナタ ニ短調 (キャッチーなテーマによる技巧的なフーガ)
 

牢屋とはいえ楽器を置いた部屋で、お気に入りの音楽の楽譜を取り寄せて筆写してはつれづれに演奏する日々・・・。
うーん、なんか悪くない気がする。
このCD聴いていると、「仕事したくないでござる!」と叫びだしたくなります(←アブナイ)。

 ジョヴァンニ・ピッキ/トッカータ (華やかで自由気ままな即興的小品)
 

(2021.11.07.)

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