バッハ/無伴奏チェロ組曲(ピアノ版)
(エレオノール・ビンドマン:ピアノ 2020録音)



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バッハの無伴奏チェロ組曲をかれこれ10年ほど練習しています。
以前は家族からよく「音程メチャクチャ!」とか「気分悪くなる」など、暖かい励ましの言葉をかけられたものですが、最近は何も言われません。
ちょっとは上手になったのか? それとも見放されたのか?
当たり前ですが練習に終わりはなく、ゲームオーバーの日は来ません、一生遊べるゲームソフトみたいなもので大変お得だと思います。


さて少し前に、レイチェル・ポッジャーバッハの無伴奏チェロ組曲をヴァイオリンで弾いたCDをご紹介しました。
ところが、驚いたことに今度はピアノで弾いたCDが発売されたのです!

 エレオノール・ビンドマン:バッハ/無伴奏チェロ組曲(ピアノ版)

四本の弦と一本の弓のために書かれたほば単旋律の音楽を、88個の鍵盤と10本の指で演奏するって・・・
まるで名刀村正で羊羹を切るような、スーパーコンピューターで九九を計算するような行為じゃあーりましぇんかーマイケルシェンカー!
しかしさすがにそのまま弾いたのでは寂しいから、伴奏とかアレンジを加えているんだろうなと思ったら・・・。

 第1番 前奏曲
 

・・・そのまま弾いてました。
ちょっとだけ音を増やしているところもありますが、ほとんど原曲そのまま単旋律。

 第1番 メヌエット (控えめに低旋律をつけています)
 

しかしなかなか良いのです、味があります。
もともと曲がいいのはもちろんですが、ピアノの単音って意外と魅力的で、ビブラートのかからないシンプルな響きは一服の清涼剤のようにさわやか。
技巧的には簡単なだけに逆に演奏者の表現力と音楽性が問われる気もします。
けっこう難しいチャレンジなのかもしれません。

 第2番 前奏曲 (なんだか詫び寂びの境地みたいな・・・)
 

とくにしっくりくるのが第4番の前奏曲。
この曲、指使いが難しくて弾きにくいんですが(←自分が下手なことは棚に上げて)、
ピアノだとずいぶん楽そうだし、曲調もどこかピアニスティックな気がするのです。
もとは鍵盤楽器の曲だったんじゃないかと思うほど。

 第4番 前奏曲
 

無伴奏チェロ組曲は6番まであって、順に難易度が上がってゆきます。
なので6番になると、ピアノで弾いてもちょっと歯応えがありそうです。

 第6番 前奏曲 (バッハ先生が見守っている)
 

 もちろんチェロ1本だと超難曲です! (しかし素晴らしい曲・・・)
 (チャイコフスキー・コンクール第3位のアナスタシア・コベキナの演奏)

チェロ版を知っていると新しい発見があって興味深いですが、原曲を聴いたことがなくても十分楽しめると思います。
晴れた休日の朝食時のBGMにしたら、食が進みました。げっぷ。

 第6番 ジーグ (組曲の最後を飾る曲。華やかで大好きです。)
 

 でもチェロ1本で弾くのはやっぱり大変!
 (上野通明の演奏が上手すぎてそれほど難しそうに聴こえないのはご愛敬)

(2022.02.06.)


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