ヴァインベルク/ピアノ三重奏曲 ヴァイオリンとピアノのためのソナチネ
無伴奏コントラバス・ソナタ




Amzon.co.jp : ミェチスワフ・ヴァインベルク:室内楽作品集(Piano Trio, Violin Sonatina, Double bass Sonata)

Tower@jp : Weinberg/Piano Trio, Violin Sonatina, Double Bass Sonata


ヴァインベルクのあの珍曲がついにCDに!


まさか出るとは思いませんでした!
あれほどの珍曲が、あの妙な曲が、CDになるなんて!

 え、何のことかって?

ミェチスワフ・ヴァインベルク(1919〜1996)の無伴奏コントラバス・ソナタがついにCD化されたのです!

じつはヴァインベルクは無伴奏ソナタが大好き。
無伴奏ヴァイオリン・ソナタを3曲、無伴奏ヴィオラ・ソナタを4曲、無伴奏チェロ・ソナタを3曲、そして無伴奏コントラバス・ソナタを1曲書いているのです。
さらには無伴奏チェロのための24の前奏曲なんて代物も残してるし、無伴奏ファゴット・ソナタもあります。

 なんでこんなに書きまくったのか・・・。

ピアノ・パートを書くのがめんどくさかったか、それとも書き忘れたか?(んな馬鹿な)
ひょっとして無伴奏カスタネット・ソナタとか無伴奏トライアングル・ソナタも書いている・・・・・・ってことはありませんよね、さすがに。

その無伴奏コントラバス・ソナタ 作品108 (1971)は、6つの楽章からなる組曲風の作品。
後期ヴァインベルクとしては親しみやすい曲で、でっかい楽器を豪快に鳴らして気持ちよさそうです。
速い楽章は超絶技巧を駆使して大変そうですが、コントラバスの独奏がこんなにも聴きごたえあるとは嬉しい驚き。
無伴奏ファゴット・ソナタはちょっと退屈でしたが、これはなかなか素敵な曲です。
今後、コントラバス奏者のレパートリーとして定着してゆくことを期待。

 第1楽章 アダージョ (朗々として豪快で、こりゃなかなかいい!)
 

 第4楽章 アレグレット (謎めいた雰囲気が魅力的な短い楽章)
 

ピアノ三重奏曲 作品24 (1945)
第二次世界大戦終結の年に書かれた、緊張感みなぎる傑作。
前年のピアノ五重奏曲をさらに鋭く研ぎ澄ましたような、厳しく激しい音楽。
クライマックスを狂騒的に盛り上げながらも終結部で速度を落とし、
消えるように息絶えるように曲を閉じる「ヴァインベルク・スタイル」ピアノ五重奏曲以上に顕著で、悲劇性を高めています。
ショスタコーヴィチのピアノ三重奏曲第2番(1944)の影響も聴き取れますが、いやいやどうして、負けてないんじゃないでしょうか。

 ピアノ三重奏曲・第2楽章「トッカータ」 (「ただいま戦闘中!」って雰囲気のスゴイ楽章)
 (このCDの演奏ではありません。日本人若手チェリスト・新倉瞳が参加してます)

 ピアノ三重奏曲・第4楽章「フィナーレ」 (ノリのいい終楽章)
 

ヴァイオリンとピアノのためのソナチネ 作品46 (1946)
この曲は少し前にご紹介した「ヴァイオリンとピアノのための作品全集」にも、クレーメル・プレイズ・ヴァインベルクにも収録されています。
15分ほどの作品ですが、親しみやすく、よく歌う曲で、密度はぎっちり。
この演奏は、クレーメルに比べるとずいぶん遅め、作品の抒情的な面が強調されてます。
そういうアプローチなんでしょうね。
悪く言えばちょっと間延びが・・・・・・、こないだ切れ味鋭いクレーメルで聴いたばかりなので。
でもまあ好みの問題か。
それにしてもヴァインベルクの曲を様々な演奏で聴き比べて文句を言える時代になったなんて、感無量ですな、わしゃ嬉しいよ。

 ヴァイオリンとピアノのためのソナチネ・第1楽章 (これはこれで優美な良い演奏)
 
 

(2014.05.22.)


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