ヴァインベルク/ヴァイオリンとピアノのための作品全集(3枚組)



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<曲目>
ヴァイオリン・ソナタ第1番〜第6番
ヴァイオリンとピアノのためのソナチネ
モルダヴィアの主題による狂詩曲
ヴァイオリンとピアノのための3つの小品



めっきり寒くなりました。
寒いのは苦手です、嫌ですねえ。

しかし、玄関脇の土間に置いたビールが、冷蔵庫で冷やさなくても美味しく飲めるのは便利です。
寒さも良いことありますね、ポジティヴ・シンキング!

さて、このHPでよく取り上げるミエチスワフ・ヴァインベルク(1919〜1996)、
暗く屈折した曲が多い彼ですが、じつは非常にポジティヴ・シンキングの人ではなかったかと思ったり。

ポーランド生まれのユダヤ人で、20歳の時に家族全員をナチスに虐殺され、命からがら身一つでソ連に亡命、
なんとか戦争を生き延びたものの、戦後はユダヤ人嫌いのスターリンに迫害されるわ、
ショスタコーヴィチと親しかったためジダーノフ批判の巻き添えを食うわでひどい目に。
1953年には国家反逆罪で逮捕されますが、直後に運良くスターリンが急死、無事釈放。
しかしロマンティックで非前衛な作風のため雪解け以降のニュー・ウェーブには乗れず、
シュニトケ、グバイドゥリーナ、ペルトの人気が出るのを横目で見ながら、「私の音楽は時代遅れだから仕方ないね」と笑っていたとか。
それでもソ連の崩壊を見届けて天寿を全うしたのは、よほど精神的にタフだったに違いありません。
並の神経だったらとっくに人格崩壊しています。

さて亡くなった途端、CDが次々に発売され始めたヴァインベルク(生きてるうちに売れたかっただろうな・・・)、
これはヴァイオリンとピアノのための作品をすべて収めた3枚組、好企画です。

基本的に暗い緊張に満ちた音楽ですが、ときどき狂騒的にブチ切れるのがヴァインベルク。
ふだんは謹厳な人が酒を飲むとはっちゃけて踊りだすみたいで、「大丈夫?」と言いたくなります。
ショスタコーヴィチにもそういうところはありますが、都会的に洗練されたショスタコに比べて、ヴァインベルクは土俗的。
ユダヤの血を感じさせる粘っこい哀愁のメロディが魅力です。
なおヴァインベルクは若い頃から、ソナタや交響曲の最後に緩徐楽章を置いて、消え入るように曲を閉じるのを好みました。
ショスタコーヴィチも晩年のヴァイオリン・ソナタ、ヴィオラ・ソナタでは終楽章を緩徐楽章にしています。
おそらくヴァインベルクの影響でしょう。

どの曲も聴きごたえありますが、とくに第3番から第5番のソナタは傑作ぞろい。
最後の第6番は世界初録音、これまた瞑想的で実に深遠な、素晴らしい音楽です。

 ヴァイオリン・ソナタ第4番・第2楽章(このCDの演奏ではありません)
 

なお、名ヴァイオリニスト・ギドン・クレーメルは近頃ヴァインベルクに興味を示しているようで、
アルゲリッチと組んでヴァイオリン・ソナタ第3番を演奏したり、クレメラータ・バルティカで交響曲第10番を演奏したりしています。
来年にはCDを発売する予定らしいです。

ミエチスワフ・ヴァインベルク、着々と人気作曲家に成り上がりつつあります!
クラヲタの皆様、お乗り遅れなきようご注意ください!

 CD Trailer
 


(2013.12.15.)

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