ヴァインベルグ/チェロ・ソナタ第1&2番
無伴奏チェロ・ソナタ第1番

(アレクサンダー・シャウシャン:チェロ エフゲニー・スドビン:ピアノ)



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Tower@jp : M.Weinberg: Cello Sonatas


さて、昨年は生誕90年だったからでしょうか、
わが偏愛するマイナー作曲家
モイセイ・ヴァインベルク(ミェチスワフ・ヴァインベルク)Moisei (Mieczyslaw)Weinberg(1919〜1996)
のディスクがたくさんリリースされました。
私も何度かご紹介させていただきました

しかし、取り上げても取り上げても、気持がいいほど何の反響もないのがヴァインベルク
ここまで手ごたえがないと、いっそすがすがしいくらいであります。
まあ、仕方がありません、超マイナー作曲家だし、暗い曲多いし、表題のついた曲も少ないし。。。
しかし、めげてはいけません。
そんなヤワな子に育てた覚えはなくってよ!
今回は彼のチェロ・ソナタのアルバムをご紹介する、懲りない私であります。

さて、交響曲をたくさん書いた(26曲!)ヴァインベルクですが、室内楽曲もたくさん残しました。
なかでも、ピアノ五重奏曲(1944)は大傑作!
ショスタコーヴィチのピアノ五重奏曲より良い曲だとマジで思ってますが石投げないでくださいねショスタコファンの方。

今回ご紹介するチェロ・ソナタもなかなかのものですよ〜。

さて、ヴァインベルクの音楽の魅力のひとつは、
瞑想的・抒情的な部分と、躍動的・狂騒的な部分の落差の激しさ。

チェロ・ソナタ第1番 作品21(1945)は、ふたつの楽章からなりますが、
チェロの静謐なモノローグによる美しい第1楽章と、リズミックでバーバリスティックな第2楽章の対照の妙が素敵です。
第2楽章は中間に瞑想的なカデンツァを挟む三部形式で、ヴァインベルクの急速楽章としてはやや上品な部類ですが、
緊張感に満ちつつも親しみやすい名楽章です。
御用とお急ぎでない方は、とりあえずこれだけでも聴いてみてチョ。

 ヴァインベルク:チェロ・ソナタ第1番・第2楽章 (この楽章、超カッコイイ!!)
 

チェロ・ソナタ第2番 作品63(1959)は、モデラート〜アンダンテ〜アレグロの3楽章。
これはヴァインベルクの瞑想的側面を味わうべき曲ですね。
第1楽章は縁側で座禅を組みながら聴きましょう。
第2楽章は嘆きの歌。中間部はテンポを速めチェロは朗々と歌います。
第3楽章はせかせかした同音反復がいかにもヴァインベルク、激しい踊りのような豪快なフィナーレです。

 ヴァインベルク:チェロ・ソナタ第2番・第3楽章 (激しくも美しく盛り上がります、名曲!)
 

ところでヴァインベルク弦のための無伴奏ソナタをたくさん書いています。
ヴァイオリン(3曲)、ヴィオラ(4曲)、チェロ(4曲)、そしてなんとコントラバス(1曲)、
あと、無伴奏チェロのための24の前奏曲なんてのもあります。
マックス・レーガーに数ではちょっと負けていますが、レーガーはコントラバス・ソナタは書いてないので
この勝負、双方痛み分けと判ずるっ!(何の勝負だ)

無伴奏チェロ・ソナタ第1番 作品72(1960)は、
抒情的に始まり狂騒的に終わる、いつものヴァインベルク節が高い完成度で実現している傑作。
なにやら哲学的に語りかけてくる第1楽章
寂しげに歪んだメヌエットの第2楽章
野蛮な踊りのような技巧的な第3楽章
美しく、激しく、ハイテンションな作品です。

 無伴奏チェロ・ソナタ第1番・第3楽章 
 

(10.2.13.)


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