ヴァインベルク/無伴奏チェロ・ソナタ全集
(マリオ・ブルネロ 2022録音)
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ミェチスワフ・ヴァインベルク(1919〜96)の無伴奏チェロ・ソナタの全曲録音は、
1997録音のヨゼフ・フェイゲルソン盤(ナクソス、全2枚 持ってます)と2019年のマリナ・タラソヴァ盤(Northern
Flowers 未聴)がありましたが、
このたびマリオ・ブルネロによる新録音がリリースされました。
古楽器の人のイメージがあったので、ちょっと意外。
使用楽器は1600年ごろに制作されたピエトロ・サント・マッジーニ・・・って、やっぱり古楽器やないですか。
おそらくはガット弦使用。
20世紀後半に書かれた曲を弾かされて、マッジーニくん、さぞやびっくりしたでしょうね。
このCD、全4曲を1枚に詰め込んでいて、なんと収録時間87分25秒!
アマゾンには、「長時間収録ディスクのため、一部のプレイヤーでは正常に再生できない可能性がございます。ご注意ください」
なんて怖いことが書いてあります。
我が家のオンボロCDプレーヤーで再生できるかどうかドキドキしましたが、無事に聴けました。
さて、ブルネロの演奏ですが、フェイゲルソンに比べて重苦しく、そして暗いです。
残響多めの録音に遅めのテンポ、深みと重さが2割増しって感じ。
第1番 第2楽章 (こっそりひそひそ話をしているような謎めいたアレグレット)
フェイゲルソン盤は、気楽に聴き流せる雰囲気も多少ありましたが、ブルネロはひたすらに内に沈潜していく感じです。
なおソナタ第2番と第4番は、作曲後に大きな改訂が行われたそうです(知らなかった)。
フェイゲルソン盤は基本的に初稿を弾いていますが、ブルネロは改訂版のほうを演奏しています。
この改訂版がどう見ても初稿よりさらに暗く深刻でして、演奏時間も長くなっています。
第2番の第4楽章は、改訂どころか全く新しい曲を書きおろしています!! なんじゃこりゃ?
第2番 第4楽章 アレグレット (弱音器をつけるよう指定されています)
初稿の第2番 第4楽章 プレスト (全然別の曲です! 似ても似つかない!!)
初稿は激しく活発な曲ですが、なぜか静かで瞑想的な曲に差し替えられています。
わざわざ改訂してるわけですから、こちらが作曲者の意図なんですね。
うーん・・・。
暗い〜〜。
20世紀チェロ独奏曲の傑作であり、名演奏ですが、あまり真剣に聴きこむと精神衛生に良くない気がしないでもないなあ。
ヴァインベルク・ファンの皆様は充分ご注意のうえ服用なさってください。
(2024,03,30.)
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