BAND-MAID/Unleash(2022)



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2022年9月リリースのBAND-MAIDの8曲入りEP"Unleash"、期待にたがわぬ大傑作でした。

 しかし決して聴きやすくも分かりやすくもありません。

たとえば"influencer"を一度聴いて理解できる人がどれくらいいるでしょう? 
私の大脳皮質には容量オーバーでした。

 (できれば日本語の字幕を付けてほしい・・・)

3曲分くらいの素材とアイデアをぶち込んで組み上げた音の要塞。
超カッコイイ曲ですが、複雑で目まぐるしく、おいそれとはついていけません。
5回くらい聴いてようやく全体像を把握できたかな。
バルトーク「ヴァイオリン協奏曲第2番」ストラヴィンスキー「春の祭典」をはじめて聴いたときもそんな感じだったっけ。

曲全体が聴きどころですがあえてクドクド語っちゃうと、前半だけで5つか6つのメロディ素材が投入されますが、ギターの細かい動きにも要注目です。
0:58のキャッチーなサビ"Hunky-dory day(最高の一日)"はライブ用シンガロング・フレーズ。
2:05からのハモリを伴うラップに続いて2:19からは重心の低いベース・ソロが渋くて彩高、ヴォーカルの合いの手が楔を打ち込む。
2:33から技巧的なギターソロ(これ好き!)で盛り上げて、2:46にはア・カペラで意表を突き、
2:52からのSAIKIのロングトーンを受けるMIKUのロックなシャウトにはハートを撃ち抜かれます。

4つの楽器と2つの声による精緻な対位法、聴くたびに発見があります。

MVのロケーションも「映える」こと請け合い。
茨城県の石切山脈というところだそうです。

昨年10月に発売されたシングル"Sense"の曲も入っていますが、"Sense"をこのEPの流れの中で聴くとまた違った味わいが。

 

タイトルナンバー"Unleash"(解放)は、コロナ禍からの解放を高らかに歌い上げたアニメ仕立てのMVに目を奪われますが、やはり音楽的にメチャクチャ高度で複雑。
2:04からのKANAMIのギターソロは例によって超絶技巧でありながらキャッチー、しかも常套的でないのが凄い。
どうやって作曲しているのでしょう?
ご本人によると 「ノリです……。すべてノリですみません……。サンプルとかも含めて鼻歌でイメージを探してます」 ってことですが、
ノリで耳を惹きつけるフレーズをつぎつぎ産み出すんだから、要するに天才です。
アニメはメンバーのキャラクターを押さえた小ネタ満載でファンサービスは抜かりなし、最後はセーラームーンになってコロナ雲(?)をやっつけます。
でもサウンドはハイエナジーでヘヴィな成熟ロック、甘くありません、攻撃的というか凶暴ですらあります。

 

アルバム冒頭を飾るインストルメンタル・ナンバー"From Mow On"も、風格漂い個性が光ります。
熱い緊張感をはらんだギター、しなるようなパッションを秘めたベース、正確無比でありながら変幻自在なドラム。
BAND-MAIDならではの重厚な音の塊に蹂躙される快感にゾクゾクしましょう(変態か)。

 

ところで歌詞カードが青と黄色のウクライナ・カラーなのは、何か意味があるのでしょうか?

 

(2022.10.08.)


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