BAND-MAID/SCOOOOOP (2025)



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2025年10月発売の BAND-MAID/SCOOOOOP ”O”が5つあるのは、メンバーが5人だから。

8曲入り28分のEPですが、フルアルバムに劣らない重量感。
むしろこのテンションでフルアルバム作られたらこっちの情緒が持たんわと思うほど。

1曲目"PRESENT PERFECT"は、「現在完了形」を意味する文法用語。
これまでのバンドの歩みを振り返りつつ現在地を確認し未来を展望する、いわば自らに向けたアンセム。
マッシヴでパワフルな音は適度な湿り気を帯びていて、快い響きの感触。

 PRESENT PERFECT
 

とは言っても安定の手強さでありまして、メロディは素直ですが頻繁な転調、複雑な構成、詰め込んだ歌詞、一度聴いて理解するのは至難の業。
やっぱり甘くはないなBAND-MAID。
それでも4回・5回聴くうちにだんだんわかってきて、そうなると今度は何度聴いても聴き飽きない、それどころか聴くたびに新たな発見がある境地に至ります。
「一部の隙もない名曲じゃないですかこれ!」ってなります。
なお2分25秒からのギターソロは現代音楽かと思うような変態フレーズですが、いつものことです。


"Ready to Rock"は、アニメ「ロックは淑女の嗜みでして」のオープニング・テーマ曲。
ギタリストとドラマーが主人公のアニメなので、イントロでは狂ったようなギターの入りに、負けじと喧嘩を売るような超絶ドラムがかぶさります。
そしてBからF#まで半音階上昇するだけというロックの常識では考えられない奇妙なリフに導かれSAIKIのボーカルが滑り出す・・・、異形の名曲。

 Ready to Rock
 


現時点で個人的に「これ最高じゃん!」なのは"Zen"
アニメ「全修」のオープニング・テーマ。
ギターのアルペジオにのせたエモーショナルなメロディで開始、重厚なサウンド、緩急をつけた構成、妖しくもミステリアスな完璧名曲。
響きは分厚いですが洗練されていて、畳みかけるようなスピード感で、ワザも情けももろともに解き放ちます。
そして2分29秒からのギターソロは、うわ、とのけぞるほどの高速フレーズ、思わず「クセナキスかい?!」と言いたくなるほど。

 Zen
 

"Dilly-Dally"は、3分足らずの短かさながら、新機軸を盛り込んだ実験的な曲。
KANAMIによると 「え、BAND-MAIDってこういう曲もやるの?」 と言われるようなものを作りたかったそう。
ポップスやラップの要素を取り入れたテクニカルでカオティックなハード・ロック・ナンバー。
ツイン・ボーカル、ベースソロ、ギターソロ、ドラム・・・、立体モデルを組み立てるように曲を組み立てていく過程に明晰なスリルを覚えます。
慣れ切った音の支配からちょっと外れたトゲトゲとした快楽が、センシティヴな名手たちによって見事にコントロールされます。

 Dilly-Dally
 

どの曲も完成度高く、貫禄というか百戦錬磨というか大御所感すら漂います。
今後、BAND-MAID WORLDはどんなふうに展開していくんだろう。

もしBAND-MAIDの新作を「いまいちだな」と感じるようになったしたら、
その時は私の感性が彼女たちの進化についていけなくなったということなのでしょう。

 What is justice?
 

(2025.11.15.)


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