ルイ14世時代のハープシコード音楽/ソフィー・イエーツ
(2025年)



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シャンドス・レーベルの看板チェンバリスト、ソフィー・イエーツ
2025年発表の最新アルバムは

 ルイ14世時代のハープシコード音楽

ルイ14世(1638〜1715)が、ヴェルサイユ宮殿で実際に耳にしたであろう曲が集められています。

 ジャック・シャンピオン・ド・シャンボニエール:ジーグ
 (軽やかに跳ねるようなシンプルな舞曲)

優美で洒落てますね〜。
ルイ14世はこんな音楽を聴きながら食ったり飲んだり寵姫のお尻を撫でたりしていたわけですね。
この曲の作曲者はフランス・クラヴサン音楽の創始者と言われる ジャック・シャンピオン・ド・シャンボニエール(1601〜72)。
もともとルイ13世に仕え、7歳のルイ14世のクラヴサン選びを任されたり、ルイ・クープラン(1626〜61)の才能を見出して宮廷に紹介するなどしました。
しかしイタリアからやって来た若きジャン・バティスト・リュリ(1632〜87)がルイ14世の寵愛を得るのに比例してその地位は低下。
1655年ごろ、リュリの指揮する楽団で通奏低音を担当するのを拒否したことで王の不興を買い宮廷を追われ、晩年は貧困のうちに死去したと言います。

ルイ・クープランは後任の宮廷クラヴサン奏者就任を打診されたものの、師への恩義から断ったそうです。

 ルイ・クープラン:パヴァーヌ
 (柔らかくまろやかで内省的なパヴァーヌ)
 

結局宮廷クラヴサン奏者は、やはりシャンボニエールの弟子だったジャン・アンリ・ダングルベール(1629〜91)が引き継ぎます。
この地位は世襲であり、死後は息子へと引き継がれました。

 ジャン・アンリ・ダングルベール:組曲第3番よりプレリュード
 (甘い夢のまどろみからゆっくりと目覚めるような前奏曲)
 

このCDには、シャンボニエールを追い落としたリュリの曲も収録されています。
1684年に初演された歌劇「アマディス」のシャコンヌをクラヴサンに編曲したものです。
リュリは腹黒さに定評があり、権謀術数を用いて並みいるライバルを蹴落としのし上がった人にもかかわらず、その音楽は気品があり可憐ですらあります。

 ジャン・バティスト・リュリ:歌劇「アマディス」よりシャコンヌ(編曲者不明)
 (人懐こいメロディに基づく可愛らしい変奏曲)

ルイ14世に重用され、我が世の春を謳歌していたリュリですが、1687年、王の病気平癒を願って作曲した「テ・デウム」の演奏中、
当時の習慣に従って大きな重たい「指揮杖」で床をドシンドシンと叩いてリズムをとっていたところ、
誤って自分の足を杖で潰してしまいます。

傷は重く、敗血症を起こしたリュリに医師団は「生きるためには脚を切断する必要がある」と告げます。
しかしリュリは「王と踊ったこの脚を切ることはできない」と言って亡くなりました。

リュリとルイ14世の関係を華麗に描いた「王は踊る」という映画はオススメです。

ソフィー・イエーツの演奏はいつもながら優美で上品。
残響多めの柔らかい音は暖かみがあり、いくら聴いても疲れません。
ディスクが出たら条件反射的に買ってしまうチェンバリストです。

 ニコラ・ルベーグ:鐘
  (NHKのど自慢の「合格」の鐘を連想する出だし!)

(2026.04.26.)


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