メンデルスゾーン/ピアノと弦楽のための協奏曲
ヴァイオリンとピアノのための二重協奏曲
(Gottfried von der Goltz:ヴァイオリンと指揮
Kristian Bezuidenhout:フォルテピアノ
フライベルガー・バロック・オーケストラ)




Amazon.co.jp : フェリックス・メンデルスゾーン:初期協奏曲集

HMV : Mendelssohn/Early Concertos

Tower@jp : Mendelssohn: Double Concerto for Violin & Piano, Piano Concerto



大天才・フェリックス・メンデルスゾーン(1809〜1847)は、15歳までに5曲もの協奏曲を書いています。

 ヴァイオリンと弦楽のための協奏曲 ニ短調(1822)
 ピアノと弦楽のための協奏曲 イ短調(1822)
 ヴァイオリンとピアノのための二重協奏曲 ニ短調(1823)
 2 台のピアノと管弦楽のための協奏曲 ホ長調(1823)
 2 台のピアノと管弦楽のための協奏曲 変イ長調(1824)

これらは大富豪・メンデルスゾーン家で定期的に行われていた日曜音楽会(なんと家にコンサートホールがあった)
で演奏されましたが、出版はされず、作品番号は与えられなかった習作です。

ならばつまらない曲なのかと言えば全然そうではなくて、聴かずにすませるのは惜しい名曲ぞろい、
聴けば早熟天才ぶりに開いた口がふさがらなくなること必定であります。

これは、そのうち2曲を収録したCD。

ピアノと弦楽のための協奏曲 イ短調(1822)は、13歳の作品。
4歳上の姉・ファニーのピアノ独奏で披露されたとのこと。
フンメル風の端正で典雅な曲であり、後年に作曲される2曲のピアノ協奏曲にくらべるとかなりおとなしめですが、
曲全体に、いかにも育ちの良い優雅さが漂っています。

 ピアノと弦楽のための協奏曲・第3楽章
 

そしてなんといっても素晴らしいのは、ピアノ協奏曲の半年後に作られた情熱的で流麗な
ヴァイオリンとピアノのための二重協奏曲 ニ短調(1823)
わずか半年でここまで成長するとは・・・・・・恐ろしい子。

 ヴァイオリンとピアノのための二重協奏曲 第1楽章
 

この曲については以前、アルゲリッチとクレーメルによる超弩級の炎の名演をご紹介しました。
これはまさに憑かれたような奇跡の名演奏ですが、
なんというか、リトルリーグの試合に大リーガーが出て、しかも本気でやってる、みたいな大人げなさを感じないでもないです。
フェリックスが意図したのは、もっと家庭的で親密な対話のような演奏だったのではないでしょうか。

今回ご紹介するのは、小編成のバロック・オーケストラにフォルテピアノを使用した演奏なので、当時の響きに近いのではないかと思われます。
さらりと優雅、小粋で小気味良いスマート演奏。
強奏部分でも浪花節的な濃さはなく、シャープでキレの良い音の中から初々しい抒情の香りが匂い立ちます。

アルゲリッチ/クレーメル盤の素晴らしさは十分に認めますが、
これから若きメンデルスゾーンの天才を味わいたくなった時はこの盤のほうに手を伸ばすかも知れません。

(2012.2.1.)

 この演奏も素敵
 

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