メンデルスゾーン/ヴァイオリンとピアノのための二重協奏曲 ニ短調
ヴァイオリンと弦楽のための協奏曲 ニ短調

(マルタ・アルゲリッチ:ピアノ ギドン・クレーメル:ヴァイオリン オルフェウス室内管弦楽団)



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親は子供が生まれると、

 「この子は天才かもしれない」

と一度は思うものだそうです。

早く立ったと言っては「天才的な運動能力の持ち主では?」
「ばぶう」と言ったら「言葉が早いっ!天才的頭脳の持ち主に違いない!」
幼稚園で描いた絵を見ては「大胆な構図!なんという独創的な犬の絵だ!」(←実は猫の絵)
などと舞い上がるわけですね。

うちの子供たちも、幼少より数々の才能の片鱗をシケた線香花火のようにきらめかせつつ、順調に凡人に育っています。

結局平凡が一番よ!(負け惜しみ)


さて、音楽史上最高の天才的神童は、おそらくモーツァルトメンデルスゾーン
いや、ことによるとメンデルスゾーンのほうが上かもしれません。

このCDに収められた「ヴァイオリンとピアノのための二重協奏曲 ニ短調」は、作曲者14歳の作品。
そして、「ヴァイオリンと弦楽のための協奏曲 ニ短調」は、なんと13歳のときの作品です。

とはいえ、メンデルスゾーンは11歳から15歳の間に「弦楽のための交響曲」全13曲を書き、
16歳で「八重奏曲」、17歳で「真夏の夜の夢・序曲」を作曲していますから、
並みの13歳や14歳ではないことは重々承知ですが、それにしても・・・スゴイよ。


 2曲とも名曲でありますっ!


さて「ヴァイオリンとピアノのための二重協奏曲」
甘い憂愁にいろどられたメロディ、バロック風な対位法が多用された、若々しくみずみずしい曲です。
そしてなんつってもアルゲリッチクレーメルの破格に熱い演奏!!
そもそもメンデルスゾーン家の日曜音楽会で演奏されたと思われる「内輪の」曲、
それも天才とはいえ14歳の少年が書いた曲を、燃え上がるように激しく演奏して、ものすごいことになっているのです。

第1楽章でのアルゲリッチの登場ぶりは、まるで果し合いに現れた剣士のよう。
クレーメルのヴァイオリンも、発止と受け止めて一歩もひきません。
ふたりの剣士いや独奏者は、互いに必殺の技を繰り出し、演奏は白熱の様相。
息詰まる真剣勝負であると同時に美しい舞のように、見る者いや聴く者を魅了します。
18分もの長い楽章ですが、ただならぬ気迫、はりつめた緊張感のため、まったく長さを感じません。

 

第2楽章アダージョは一転、震えるようなリリシズムに満ち溢れます。
ヴァイオリンとピアノは寄り添い、まどろみながら、仲むつまじい会話を交わします。

 

第3楽章では再び熱気がよみがえります。
二つの独奏楽器はジャズのインタープレイのように取っ組み合い、ふざけあい、駆けまわりながら、華やかな終結に向かって奔放に走り抜けます。
  
 

いやはや、大変な名演奏です。
ほかの演奏者で、これほど盛り上がるかは疑問ですが、とにかくこのディスクは凄い。
盤面から炎が吹き出すようです(←プレイヤーこわれるがな)
メンデルスゾーン本人が聴いたらびっくりするかも。


「ヴァイオリンと弦楽のための協奏曲 ニ短調」は、有名なヴァイオリン協奏曲 ホ短調よりも20年以上前の作品。
メンデルスゾーン家お抱えの(!)ヴァイオリニストで、フェリックスたちのヴァイオリンの先生でもあったエドゥアルド・リーツのために書かれたといわれています。

 メンデルスゾーン:ヴァイオリンと弦楽のための協奏曲 第一楽章(このCDの演奏ではありません)
 

ほの暗い哀愁を帯びた魅力的な曲。
とても13歳とは思えない成熟した音楽に、ただ聴きほれるのみ。
軽やかに飛び跳ねる第3楽章後半が、切れ味鮮やかでとくに素敵ですね。

 メンデルスゾーン:ヴァイオリンと弦楽のための協奏曲 第三楽章(このCDの演奏ではありません)
 

(09.4.19.)


フェリックス・メンデルスゾーン(12歳)
なんという美少女!ちゃう美少年!

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