ガラッ八:親分親分、あっしたち、久しぶりの登場でやんすよ!
親分:お、おう、わかってらあ。 ちょっと緊張するぜ。
八:親分親分、あわてて出てきたんで、ちょんまげが前後さかさまになってやすよ。
親:え? え? いやだー、はずかしーい!
八:うっそだぴょーん! やーい、だまされたー!!
親:子供かおまえはっ!!
八:やだなあ、緊張をほぐしてあげたんでやんす。
ところで今回のブツはなんなんですか。
親:うむ、こないだ管理人が、ポルトガルの作曲家ジョリ・ブラガ・サントスの交響曲第2番を紹介しただろ。
過去に第1番、第5番、第4番は紹介してるから、このさい、残る第3番、第6番もとりあげて、全6曲コンプリートしといてくれと頼まれたのだ。
八:つまり、毒を食らわば皿までですね。
親:ブラガ・サントスの交響曲は毒かいっ! 失礼なっ!
八:じゃあ、いきがけの駄賃ってことで。
親:・・・やっぱり微妙に失礼だな。
とにかくこれで、当HPで交響曲全曲を紹介した作曲家は、ルーズ・ランゴー、矢代秋雄につづき3人目ということになるんだそうだ。
八:あのー、矢代秋雄の交響曲って、たしか1曲しかないんですけど・・・。
親:細けえことを気にするんじゃねえ!
ブラガ・サントス:交響曲第3番(1949)は、古典的作風の交響曲だ。
八:あー、いいですねえ、安心して気持ちよく聴けやす。
親:第1楽章は、夜明けを思わせるレントの序奏につづくアレグロ・モデラートの主部。
相変わらず元気いっぱいだなー、素直で力強く、のびやかな音楽だ。
八:第2番とよく似てますねえ。 ワンパターンといえばワンパターンでやんす。
親:いいじゃねえか、好きだなあ、このノリ。
こういう曲なら何曲あってもいいぜ俺は。
ただ、個人的にはこの曲では第2楽章と第3楽章がとくにいいと思う。
八:ほお。
親:第2楽章:レントは、まどろむ人の息づかいのような独特の開始、オーボエに歌われるはかなげなメロディが弦に受け渡され徐々に音量をあげ・・・・
おお、なんというロマンティックな音楽なんだ!
八:でもそれほどセンチメンタルじゃないですね。
親:うむ、孤独な旅のような、ひとりで見る夢のような、ストイックな音楽世界だ。
八:静かで透明で、スケールの大きな音楽でやんすねー。
親:第3楽章:テンポ・ディ・スケルツォは、ティンパニの強打で始まる活き活きとした楽章。
八:ひゃあ、目が覚めたでやんす。
親:荒々しい波を乗り越えて進む船を連想するなあ。
八:ハープの音色が綺麗でやんす。
親:中間部はおごそかな金管のファンファーレで盛り上がる。
冒険の喜びにあふれる、熱気と活気に満ちた楽章だ。
八:これは元気の出る楽章ですねえ。
親:第4楽章フィナーレはアダージョ〜アレグロ。
ブラガ・サントスの交響曲のフィナーレは、自由な形式を取ることが多くて、雰囲気や速度がいろいろ変わる。
第2楽章の主題が再登場したりしながら、最後はおごそかに力強く曲を閉じるんだ。
八:いやー、いい曲でしたねえ。気に入りやした、これ。
親:ブラガ・サントスの第1番から第4番までの交響曲は、いずれ劣らぬ傑作。
これらはなんと、22歳から27歳までの作品・・・やっぱり天才だな。
八:で、第6番はどうなんですか。
親:交響曲第6番(1972)は、単一楽章の曲で、後半に合唱とソプラノ独唱が加わるんだ。
前半の管弦楽部分は、現代音楽風で・・・うーん、なんか無理してる感じがするなあ。
冒頭部分
八:そうですねえ、悪くはないですが得意の綺麗なメロディを封印しちゃって・・・いつものサントスくんじゃないでやんすっ!
親:こういう音楽なら、ブラガ=サントスじゃなくても他に得意な人がいるだろうって思っちゃうよ。
でも後半、声楽が加わってからはメロディも復活、ぐっと聴きやすくなる。
とくに最後のパート、ソプラノ独唱の部分は美しい。
歌詞は17世紀ポルトガルの有名な詩人のもので、船乗りの恋人とともに船に乗って故郷を離れる娘が、愛する母に別れを告げるというものらしい。
最終部分
親:作曲者には悪いが、この部分だけ聴いたのでもいいかもしれんな、この曲は。
八:あー、ここは綺麗ですねえ、なんだかしんみりしますねえ。
あっしも田舎のお袋を思い出しやした。
親:うむ、おっかさんは大切にしねえとな。
八:そうだ、あっしちょっと田舎に帰っておふくろの顔でも見てきまさあ。
親:お、おう、おっかさんによろしくな。
八:そいじゃ親分、あっしが留守のあいだ、仕事のほうよろしくお願いしやす。
親:おう、まかせとけ・・・って、こ、こらー、また仕事さぼる気だな! 待てー!
(10.2.25.)
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