ブラガ=サントス/室内楽曲全集(全3枚)

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20世紀ポルトガルの生んだ天才作曲家、ジョリ・ブラガ=サントス(1924〜88)。
なんといっても6曲の交響曲を始めとする管弦楽曲が素晴らしいのですが、むろんそれだけではありません。

室内楽曲もあります。
このたびCD3枚に及ぶ「ブラガ・サントス室内楽曲全集」が発売されました。
世界初録音を含む意欲的なプロジェクトで、作曲者の娘でヴィオラ奏者のレオノール・ブラガ=サントスも参加しています。
3枚すべて聴いて思いました。

 ・・・やっぱりブラガ=サントスの本領は管弦楽曲だわ。(←オイオイ)

この天才作曲家のスケールの大きさ、雄大なロマンティシズムは管弦楽でこそ発揮されるものです。
それでも、ブラガ=サントス・ファンにとって愛すべき作品はいくつかあります。

第1集には弦楽四重奏曲2曲と弦楽六重奏曲がおさめられています。
21歳の若書きである「弦楽四重奏曲第1番」(1945)。
冒頭からさざ波のような音型をバックに美しい旋律が呈示され、のどかで明るいハーモニーに耳を奪われます。

 弦楽四重奏曲第1番 第1楽章 アレグロ・モデラート
 

どこか東洋的な雰囲気も日本人のメンタリティに合っているし、「これってドヴォルザーク?」と思う瞬間もあります。
メロディが「立って」います。
でもこれをオーケストレーションしたらさぞゴージャスになるだろうにと思うんですよね。

「弦楽四重奏曲第2番」(1957)の第2楽章で歌われる哀愁メロディの連続技もふるいつきたくなるほどの美しさ。
ブラガ=サントスのメロディ・センスはホントに絶品です。

 弦楽四重奏曲第2盤 第2楽章 アダージョ・モルト〜アンダンテ・コン・モート
 

第2集にはピアノ三重奏曲、ピアノ四重奏曲などが収録されています。
「ピアノ四重奏曲」(1957)は15分足らずの単一楽章で、無駄なく緊密にまとまった逸品。
ブラガ=サントスの曲は、沸き立つような伴奏の上に勇壮な主題が登場するパターンで始まるものが多いですが、
この曲もそうで、なにやら冒険の始まりみたいでワクワクします。
帆船に乗って大海原を航海しているような気分になります。

 ピアノ四重奏曲
 

ピアノ、オーボエ、ヴィオラ、コントラバスという変わった編成の「舞踏組曲 作品63」(1984)も面白いです。

 第3楽章 タランテラ
 

第3集はさまざまな小品を集めた一枚。

 チェロとピアノのための「メロディ」(1987) (子守歌のような慰めのメロディ)
 

アルバムの最後を締めくくるのは1942年に「作品1」として発表された「ヴァイオリンとピアノのためのノクターン」
ラヴェル、ドビュッシーの影響が感じられますが、17歳の若さに似合わぬ落ち着きと風格に天才の片鱗が垣間見えます。

 ヴァイオリンとピアノのためのノクターン 作品1
 

全国のブラガ=サントス・ファン必聴のアルバムです(・・・何人いるんだ?)。
でもこれからブラガ=サントスを聴いてみようという方には、交響曲第2番、交響曲第4番、弦楽のための協奏曲などをオススメします。
まずは管弦楽曲から。
いい曲ばかりですよ〜。

(2024.04.07.)

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