ブラガ=サントス/交響曲第4番&交響的変奏曲
(Aivaro Cassuto 指揮 National Symphony Orchestra of Ireland)


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「交響曲第1&5番」,、「弦楽のための作品集」が、どちらも良かった
ポルトガルの作曲家、ジョリ・ブラガ=サントス(1924〜1988)、今回は交響曲第4番(1951)を聴いてみました。

4楽章で合計53分という大曲。
しかもロマン派ど真ん中、とても20世紀中盤に書かれたとは思えません(ルイジ・ノーノと同い年なんですよね、この人
なんか文句つけてやろうと思いながら聴いたのですが(←ひねくれ者)、真正面から「ロマン派で悪いかー、デカくて悪いかー!」と、ド迫力で迫られ、寄り切られてしまいました。
結論として申し上げるならば、超名曲であります、コレ。

第1楽章、民謡風のおだやかな序奏部(3分ちょっと)で、全曲を統一するメインテーマを提示。
続くはソナタ形式のアレグロ・コン・フォコ。
「帆船に乗り、冒険の旅にいざ出発!」って感じ、一昔前のハリウッド冒険映画のサウンド・トラックのような音楽。
なんというか非常に映像喚起力ありますね。
うなる金管楽器、軽やかに踊る木管楽器、きらめくストリングス、ややコケオドシ風ながらもなんという活力に満ちた音楽。

 

第2楽章、葬送行進曲風アンダンテ。
いやあこの楽章いいっす、美しいっす、もろ好みっす。 
ブラガ=サントスのメロディ・センスは本当に素晴らしいっ!
クライマックスではきっちり劇的に盛り上がってみせて、胸キュンものの哀愁メロディをこれでもかとばかりに聴かせながら、遠ざかるように消えてゆくこの楽章、
文句なしの5つ星★★★★★、おまけにもひとつ、ですっ!!

 

第3楽章、爽やかなスケルツォ。
イメージとしては、青い大海原の上をかもめの群れが飛び交っているような。
中間部では5拍子となりちょっと意表を突かれますが、相変わらずサワヤカな雰囲気を保ったまま、民謡風の人懐こいメロディが流れては消えてゆきます。

 

第4楽章、幻想的な序奏に続くアレグロ・コン・ブリオ。
ぐいぐい前進する第1主題はやはり映画音楽風、「冒険を終えて栄光の帰還」でしょうか。
第2主題は、ロドリーゴのアランフェス協奏曲第3楽章を思わせるちょっとユーモラスなもの。
賑やかな展開部、明るく華やかな再現部、最高潮に盛り上がって終わり・・・と思ったら、最後に「青春への讃歌」と題されたエピローグが。
穏やかで晴れ晴れとしたコラール風のメロディ、ブラームスの1番の4楽章のテーマにクリソツです。
こんなのを楽器を増やしながらクレッシェンドしてゆく「ボレロ攻め」で聴かされた日には、泣いてしまうじゃありませんか。 ぜったい反則ですよ反則!
映画のエンド・クレジットのようなエピローグを聴き終われば、すっかり満腹でございます。

 (なおエピローグは11:15から)


ブラガ=サントス自身、これだけの曲を書いて満腹 満足したのか、
憑き物が落ちたように、しばらく交響曲の作曲を止めてしまいます(驚くべきことにまだ27歳!)
次の交響曲第5番が書かれたのは15年後の1966年。
前衛的な要素を大胆に取り入れた、とても面白い曲です。

(07.8.4.)

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