ブラガ・サントス/弦楽のための作品集
(Alvaro Cassuto指揮 Northern Symphonia)
Amazon.co.jp : Braga Santos: Concerto for Strings
<曲目>
弦楽のための協奏曲(1951)
弦楽のためのシンフォニエッタ(1963)
弦楽とハープのための協奏的変奏曲(1967)
ヴァイオリン、チェロ、弦楽とハープのための協奏曲(1968)
南欧のシベリウス
「交響曲第1&5番」がとても良かったポルトガルの作曲家ジョリ・ブラガ・サントス Joly Braga Santos(1924〜1988)。
一部で「南欧のシベリウス」と呼ばれているらしいです。
シベリウスに似ているかどうか、私にはよくわかりませんが(シベリウス聴きこんでない)・・・・ブラガ・サントスは明るいです、基本的に。
悲劇的な響きや、哀愁のメロディを奏でても、根っこのところで人生を肯定している、そういうところに惹かれます。
かといって無意味に陽気な馬鹿騒ぎ音楽でもありません。
節度ある叙情、存分に歌うメロディ、沸き立つようなリズム・・・・聴けば聴くほど、良い作曲家です。
弦楽のための協奏曲(1951)は、古典的・保守的な三楽章の作品。
弦楽合奏のための作品として屈指の名曲だと思います。
芳醇でまろやかな甘口カレーのように美しい曲で、エルガーの弦楽セレナーデや、ブリテンのシンプル・シンフォニーに負けていません。
悲劇的な序奏に続く勇壮なアレグロ、一部の隙もなく構成された第1楽章、みごとです。
第2楽章アダージョ・ノン・トロッポは、作曲者の葬儀でも演奏されたという、美しい哀歌です。
第3楽章は、湧き立つような喜びにあふれた舞曲風のフィナーレ。
弦楽のためのシンフォニエッタ(1963)は、やや現代的な響き。
といってもバルトークを多少鋭くした程度でしょうか、緊迫感はあるものの、うたごころに満ちた曲です。
これは中辛カレーですね。 スパイシーですがやわらかな味わい。
第1楽章
弦楽とハープのための協奏的変奏曲(1967)、タイトルから優雅な音楽を想像すると裏切られます。
「変奏曲」と言っても、そもそも主題がはっきりしなかったりします。
解説によると曲は8つの部分に分けられます。 移ろいゆく流れに耳を任せてゆくと、うむ、美しい曲です。
ちょっと辛口、心して食したほうが良さそうですが、慣れると美味。
ヴァイオリン、チェロ、弦楽とハープのための協奏曲(1968)
ラルゴ/アレグロ/アダージョの三つの楽章からなります。
二つの独奏楽器による無調的な哀歌に始まり、徐々に高まってゆく第1楽章・ラルゴ。
合奏が刻む荒々しい五拍子のリズムの上に、様々な楽想が流れてゆく無窮動風の第2楽章・アレグロ。
息の長い無調的な旋律が、悲しげに、ときに激しく歌い継がれる第3楽章・アダージョ。
・・・・すごいです、この曲、傑作です。
前衛的ですが聴きやすく、ハープによるアクセントもじつに効果的です。
甘いも辛いも超越した、じっくり煮込んだ老舗の看板カレー級。
このCD、ブラガ・サントスの多彩な作風を一枚で概観できる名盤でした。
いやもうお腹いっぱいです勘弁してくださいって感じです。 満足。
(06.10.22.)
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