Amazon.co.jp : 奇跡の脳
努力の末に脳科学の専門家となり、
ハーバードの第一線で活躍するわたしは、
誰よりも脳について知っているはず、だった―。
1996年のある日、37歳で脳卒中に襲われ、わたしの生活は一変する。
左脳の機能が崩壊し、言葉や身体感覚だけでなく、
世界の受け止め方までも変わったのだ。
体力の補強、言語機能を脅かす手術、8年間に及んだリハビリ。
そこでわたしが得たものとは、何だったのか。
脳卒中になりうるすべての人に―。
親分:「脳トレ」が流行ったり、脳科学者がTVに出たりと、
「脳」に注目が集まっているな。
いまやちょっとした「脳ブーム」だ。
ガラッ八:流行ってるんですか〜「脳」。
流行には乗る主義でやんす。
あっしもひとつ欲しいでやんす。
親:おまえは「オズの魔法使い」のカカシかっ!!
やっぱりその頭に詰まってるのはワラクズだったんだな。
八:やだなあ、ジョークでやんすよぉ。
こういう気のきいたジョークが言えるのも、脳が高度に発達してるからでやんす。
親:高度に発達しているとはまったく思えんが・・・。
それはそうと、このジル・ボルト・テイラー「奇跡の脳」、
最近の「脳」関連本の中でもじつに面白い一冊!
八:親分、脳関連の本、そんなにたくさん読んでましたっけ?
親:あー、うー、むにゃむにゃ。
とにかくとても面白かったんだからいいだろ!
八:で、どういう本なんで?
親:著者は気鋭の若手脳科学者。
なんと1996年、37歳のときに脳出血で倒れてしまう。
八:消防署が火事になるようなもんですね。
親:この本は、彼女が懸命にリハビリに励み、
ほぼ正常に回復するまでの8年間をつづった体験記だ。
なんといっても、自身が脳の専門家だから、なみの闘病記とは一味違う。
八:親分、闘病記って、ほかにどんなの読んでましたっけ?
親:あー、うー、むにゃむにゃ。
とにかくとても面白かったからいいのだ!
なかでも興味深かったのは、脳出血に倒れたときの描写。
そのときの脳が、じつはどんな状態だったかを冷静に解説すると同時に、
実際に自分の心に浮かんだ言葉をそのまま文章にしている。
(ああ、なんてこと、のうそっちゅうになっちゃったんだわ! のうそっちゅうがおきてる!)(32ページ)
(あぁ、なんてスゴイことなの!)(32ページ)
(わたしがしようとしているのは、どんなこと? なにをしているの? たすけをよぶ。
そう、たすけをよぼうとしてるんだってば!)(41ページ)
と、まあ、こんな調子だ。
八:脳卒中でも、結構いろいろ考えられるんですね。
親:左半球にゴルフボール大の血腫ができたそうだが、
最初に意識を失わなかったのは運が良かったんだろうな。
記憶・認識が刻一刻と失われていくなか、なんとか助けを呼んで、
病院に運ばれるまでの流れは、とてもスリリングだ。
そして、本書で一番印象に残ったのは、つぎの一節。
「脳卒中のあと、六ヶ月以内にもとに戻らなかったら、永遠に回復しないでしょう!」
耳にたこができるほど、お医者さんがこう口にするのを聞いてきました。
でも、どうか、わたしを信じてください、これは本当じゃありません! (133ページ)
実際、著者は、8年かかって、ほぼ正常な状態まで回復している。
脳には、やはり底知れない可能性があるということだな。
八:なるほどー、じゃ、あっしの脳も、底知れない可能性を秘めているんですね!
今から脳トレやるでやんす。
親:ワラクズには可能性はないんじゃないかな。
あと、右脳と左脳の性格の違いについても、
この人の手にかかると滅茶苦茶ドラマティックなことになる。
情緒的で感情的な右脳と、論理的で理性的な左脳は、
性格がぜんぜん違うんだ。
著者は左脳を障害されたので、右脳優位になり、
新しい感情が次から次へと巻き起こるのを体験する。
「なにものにも束縛されず、あるがままに考える自由を持つ」右脳ワールドは、
脳障害の結果とはいえ、なかなか魅力的な世界で、
必ず回復できるものなら一度体験してみたいくらいだ。
八:いやー、親分がそうなっても、うまく右脳を使いこなせなくて、困るに決まってやす。
これがほんとの「右脳左往」なんちゃって。
親:そういうしょーもないオヤジギャグは、右脳・左脳どちらから出てくるんだろうなあ・・・。
(09.7.30.)