メンデルスゾーン姉弟の合唱曲集
(デヴィッド・テンプル指揮 クラウチ・エンド祝祭合唱団 ロンドン・モーツァルト・プレイヤーズ 2022録音)



Tower : メンデルスゾーン姉弟の合唱曲集


<曲目>
フェリックス・メンデルスゾーン/カンタータ「高き天より我は来たれり」
ファニー・メンデルスゾーン=ヘンゼル/カンタータ「ヨブ」
ファニー・メンデルスゾーン=ヘンゼル/無伴奏混声合唱のための「庭園の歌」 Op.3
フェリックス・メンデルスゾーン/最初のワルプルギスの夜 Op.60

メンデルスゾーン姉弟の合唱音楽を集めたアルバムが出ました。

ファニー・メンデルスゾーンにとって1831年は「合唱曲の年」で、この年だけで3曲のカンタータを書いています。
本CDに収録された「ヨブ」はその二つ目で、旧約聖書の「ヨブ記」の一部に曲をつけたもの。

「ヨブ記」は悪魔にそそのかされた神が、信心深い男ヨブにわざと試練を与えてその信仰心を試すという人の悪い行為に及ぶ物語(神だけど)。
というか悪魔にそそのかされる神ってどうよ? 
異教徒にはちょっとよくわからないノリです。

ファニーお姉さまの音楽は高貴で壮大で、バッハのカンタータの中の1曲と言われても違和感がありません。

 「ヨブ」 終曲 (あなたは私に命を与え 私の息吹をやさしく守る あなたの心はときに隠れるが あなたは私を思ってくれている)
 (スケールでっかく盛り上がります)

「庭園の歌」 は、1846年に作曲された無伴奏混声合唱のための組曲。
ファニーが指導する合唱団が金曜日に練習を行っていたライプツィガー通りの邸宅の庭園にインスピレーションを受けて作曲されました。

 第6曲 「森の中で」 (森の中で陽光が輝き つぼみが一斉に花開くとき 私は花園に横たわって 歌を歌おう)
 

「庭園の歌」は1847年に作品3として出版され、その年の5月14日の「新音楽時報」に好意的な批評が掲載されました。
まさにその日の午後、「日曜音楽会」で演奏する予定だったフェリックスのカンタータ「最初のワルプルギスの夜」のリハーサル中にファニーは倒れ、
41年6か月の生涯を閉じました。
 
 「金曜日、5月14日の午後、彼女は日曜日にやるつもりの曲を合唱団と練習していました。
  ピアノで伴奏中に突然気分が悪くなって手が動かなくなり、話せなくなってまもなく意識を失いました。
  医者はすぐに来ましたが功を奏さず、夜の11時にすべてが終わりました」 (息子セバスチャンの手記より)

ファニーが亡くなる直前に演奏していたフェリックス・メンデルスゾーンの「最初のワルプルギスの夜」は、
古代ガリア人たちのドルイド教の祭礼を描いたゲーテの詩をテキストにしたカンタータです。

 最初のワルプルギスの夜 から「ドルイドの見張り達と異教徒の合唱」 (来たれ熊手と槍を手に 彼らが産み出した悪魔のように 松明と拍子木をもって 狭い岩間を抜けて)
 (迫力あるなあ)

まさかこんな激しい曲やってたから血圧が上がった・・・なんてことはないよね。

(2024.01.28.)


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