みなさまこんにちは。
今年もよろしくお願い申し上げます。
お正月の三が日は思いっきり休み倒した私、1月4日(水)から6日(金)までは普通に仕事だったのですが
正月ボケした身体と頭に、これが意外とキツかった。
息も絶え絶えに金曜日の仕事を終え、
「うれしい、明日から三連休だ〜、ゼイゼイ」
1月7日(土)〜9日(月)は三連休です、ありがたやありがたや。
しっかりリフレッシュして英気を養うであります(←そしてこんどは連休ボケする)。
さて、NEOSレーベルから昨年(2011年)発売されたヴァインベルク・エディション。
ブレゲンツ音楽祭のライヴ録音で、ミェチスワフ・ヴァインベルク(1919〜96)の、誰が聴くんだろ(←お前じゃ)と言いたくなるような
マイナーで暗い曲ばかり一度に5枚も出して、じつにご苦労なことであります(真面目な話、モトが取れるとは思えません)。
このエディションから、先日は瞑想的かつ幻想的な傑作「レクイエム」をご紹介しましたが、
今回のは良く言えばヴァラエティ豊か、悪く言えば寄せ集め的なアルバムです。
1曲目は、弦楽四重奏とソプラノのための「3本の椰子の木」(1977)
23分を超す大曲、器楽のみの部分も多く、歌曲と言うよりは歌を伴った弦楽四重奏曲です。
内容は、毛利元就の「3本の矢」の逸話をロシア風にアレンジしたもの・・・・・というのは嘘で、レールモントフの詩に基づいています。
砂漠の真ん中に、三本の傲慢な椰子の木が見上げんばかりに生い茂っていた。
三本の木は神に向かって不平を言った。
「わたしたちが生をうけたのは、ここで朽ち果てるためだったのですか?
わたしたちがこの砂漠で成長し花を咲かせたのは、何の意味もなかったのですか?」
やがてキャラバンがざわめきながら近づいてきた。
椰子たちはこうべを誇らしげに振り、客人達を歓迎した。
陽気な男たちは木陰で休憩し、冷たい流れが彼らののどをうるおした。
だが夕闇が大地におりると、斧がふるわれ、
3本の木は命を絶たれて倒れた!
それからその身体は切り刻まれ、ゆっくりと燃やしつくされた。
夜が明け、キャラバンはふたたび旅に出た。
不毛の地に残された悲しみの跡は、白く冷たい灰。
ひからびた燃え残しは太陽に焼き尽くされ、風によって砂漠にまきちらされた。
・・・・・・イソップ寓話みたいなお話ですね。
この物語の教訓はなんでしょう?
ひっそりと目立たず、身を潜めているほうが長生きできるってことかな?
まあ、共産主義ソビエトで活動を制限され、秘密警察に監視され、逮捕されたことすらあるヴァインベルク、
椰子の木の運命は決して他人事ではなかったわけで・・・。
言うに言えない怨念と諦観がこもったような作品であります。
つづく弦楽三重奏曲(1950)は、ながらく未出版で演奏もされず、2007年になってようやく再発見された作品。
たぶんこれが世界初録音。 3楽章15分余りの曲です。
親しみやすい舞曲風メロディ、そこはかとなく漂う哀愁、
ショスタコーヴィチをロマンティックにしたような、プロコフィエフをセンチメンタルにしたような、ヴァインベルクとしてはかなり聴きやすい曲です。
(このCDの演奏ではありません)
トランペット協奏曲(1967)は、以前一度ご紹介したことがあります。
ショスタコーヴィチ風の軽妙さとカーニバル・サーカス的な軽薄さが忘れがたい印象を残す第1楽章「Etudes」
第1楽章より
(このCDの演奏ではありません)
荒涼たる荒野をトランペットが旅しているような第2楽章「Episodes」を経て、第3楽章「Fanfares」
この第3楽章を聴いて「なんじゃあこりゃあ!」と叫ばない人がいるでしょうか?
過去の名曲から様々なファンファーレを引用します。
マーラーの交響曲第5番、メンデルスゾーンの「結婚行進曲」、ビゼーの「カルメン」、リムスキー・コルサコフ「金鶏」などが微妙に音程をずらして引用され、
「なんか落ち着かない〜」と思いながら聴いてると、前楽章の主題も回想しつつ、盛り上がりらしい盛り上がりを見せず、静かに謎めいた風情で曲を閉じます。
じつはこれ、私が初めて聴いたヴァインベルク作品。
ショスタコーヴィチのまねっこさんかと思いながら聴いていたら、どんどん妙なことになってゆく音楽に、
「何が言いたいんですかアンタは!」
と突っ込みながら何度も聴きました(でもやっぱりわけわからん)。
その後狂ったようにヴァインベルクの音盤を集める羽目となり、今のていたらくに至ります。
第3楽章 (これがフィナーレ?・・・そうなんです)
さあ皆さまもこのわけわからん、人を食った、めくるめくヴァインベルク・ワールドへようこそ!
そして同病相哀れみましょう!(←みんな逃げて行きましたよ)
(2012.1.8.)
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