ヴァインベルク・エディション Vol.5
(3本の椰子の木、弦楽三重奏曲、トランペット協奏曲)




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みなさまこんにちは。
今年もよろしくお願い申し上げます。

お正月の三が日は思いっきり休み倒した私、1月4日(水)から6日(金)までは普通に仕事だったのですが
正月ボケした身体と頭に、これが意外とキツかった。
息も絶え絶えに金曜日の仕事を終え、

 「うれしい、明日から三連休だ〜、ゼイゼイ」

1月7日(土)〜9日(月)は三連休です、ありがたやありがたや。
しっかりリフレッシュして英気を養うであります(←そしてこんどは連休ボケする)。


さて、NEOSレーベルから昨年発売されたヴァインベルク・エディション
ブレゲンツ音楽祭のライヴ録音で、モイセイ・ヴァインベルク(1919〜1996)の、
誰が聴くんだろ(←お前じゃ)と言いたくなるようなマイナーで暗い曲ばかり一度に5枚も出して、全くご苦労なことであります(真面目な話、モトが取れるとは思えません)

このエディションから、先日は瞑想的かつ幻想的な傑作「レクイエム」をご紹介しましたが、
今回のは良く言えばヴァラエティ豊か、悪く言えば寄せ集め的なアルバムです。


1曲目は、弦楽四重奏とソプラノのための「3本の椰子の木」(1977)
23分を超す大曲、器楽のみの部分も多く、歌曲と言うよりは歌を伴った弦楽四重奏曲です。
内容は、毛利元就「3本の矢」の逸話をロシア風にアレンジしたもの・・・・・というのは嘘で、レールモントフの詩に基づいています。

 砂漠の真ん中に、三本の傲慢な椰子の木が見上げんばかりに生い茂っていた。
 三本の木は神に向かって不平を言った。
 「わたしたちが生をうけたのは、ここで朽ち果てるためだったのですか?
  わたしたちがこの砂漠で成長し花を咲かせたのは、何の意味もなかったのですか?」

 やがてキャラバンがざわめきながら近づいてきた。
 椰子たちはこうべを誇らしげに振り、客人達を歓迎した。
 陽気な男たちは木陰で休憩し、冷たい流れが彼らののどをうるおした。

 だが夕闇が大地におりると、斧がふるわれ、
 3本の木は命を絶たれて倒れた!
 それからその身体は切り刻まれ、ゆっくりと燃やしつくされた。 

 夜が明け、キャラバンはふたたび旅に出た。
 不毛の地に残された悲しみの跡は、白く冷たい灰。
 ひからびた燃え残しは太陽に焼き尽くされ、風によって砂漠にまきちらされた。


・・・・・・イソップ寓話みたいなお話ですね。
この物語の教訓はなんでしょう?
ひっそりと目立たず、身を潜めているほうが長生きできるってことかな?
まあ、共産主義ソビエトで活動を制限され、秘密警察に監視され、逮捕されたことすらあるヴァインベルク
椰子の木の運命は決して他人事ではなかったわけで・・・。
言うに言えない怨念と諦観がこもったような作品であります。


つづく弦楽三重奏曲(1950)は、ながらく未出版で演奏もされず、2007年になってようやく再発見された作品。
たぶんこれが世界初録音。 3楽章15分余りの曲です。
親しみやすい舞曲風メロディ、そこはかとなく漂う哀愁、
ショスタコーヴィチをロマンティックにしたような、プロコフィエフをセンチメンタルにしたような、ヴァインベルクとしてはかなり聴きやすい曲です。

 

トランペット協奏曲(1967)は、以前一度ご紹介したことがあります。
ショスタコーヴィチ風の軽妙さとカーニバル・サーカス的な軽薄さが忘れがたい印象を残す第1楽章「Etudes」
荒涼たる荒野をトランペットが旅しているような第2楽章「Episodes」
そして第3楽章「Fanfares」では、メンデルスゾーン「結婚行進曲」、ビゼー「カルメン」などから
トランペットのフレーズが微妙に音程をずらして引用され、「なんか落ち着かない〜」と思いながら聴いてると
盛り上がりらしい盛り上がりを見せず、ひそやかに謎めいて曲を閉じます。

じつはこれ、私が初めて聴いたヴァインベルク作品
ショスタコーヴィチのまねっこさんかと思いながら聴いていたら、どんどん妙なことになってゆく音楽に、

 「なんじゃあこりゃあ!」と叫んだ私、

とくに第3楽章はわけがわからず、

 「何が言いたいんですかアンタは!」
 
と突っ込みながら何度も聴きました(でもやっぱりわけわからん)

その後狂ったようにヴァインベルクの音盤を集める羽目となり、今のていたらくに至ります。

 

さあ皆さまもこのわけわからん、人を食った、めくるめくヴァインベルク・ワールドへようこそ!
そして同病相哀れみましょう!(←みんな逃げて行きましたよ)

(2012.1.8.)


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