ヴァインベルグ/協奏曲集



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Tower@jp : M.Weinberg: Concertos

<曲目>
チェロと管弦楽のための幻想曲 作品52
フルート協奏曲第2番 作品148
フルート協奏曲第1番 作品75
クラリネット協奏曲 作品104



当地では梅雨も空け、暑くなってまいりました。
環境を考え、というより電気代を考え、なるべくエアコンはつけないようにしているのですが・・・、も、もう限界です!

そんなとき届いたこのCD。
いやあ、涼しげなジャケットですねぇ。
一面の雪景色、杖をついてとぼとぼと歩むひとりの老人・・・さすがにちょっと涼しすぎ。
涼しいのを通り越してひたすら寒い、極寒の情景にしばし思いを・・・。

・・・しかしCDジャケット眺めていても全然涼しくはならないのです。
やっぱりエアコン、エアコン。

これはシャンドスのヴァインベルグ・シリーズの最新作。
交響曲第5番第4番など、交響曲のリリースが続いていましたが、今回は協奏曲集。
チェロ、フルート、クラリネットの協奏作品が4曲、たっぷり80分おさめられています。

ポーランドに生まれ、一家全員をナチスに殺害され、命からがらソ連に亡命した、
さすらいのユダヤ人作曲家、ショスタコーヴィチの子分筋
モイセイ・ヴァインベルグ(またはミエチスワフ・ヴァインベルグ 1919〜1996)ったあ、この人のことでございます。
ショスタコーヴィチも高く評価した天才的才能、確かな作曲手腕、いまだに無名なのが不思議なほど。


チェロと管弦楽のための幻想曲 作品52 (1949〜1953)
コブシの効きまくったユダヤ風哀愁メロディが粘っこく歌われる冒頭から、私の好みのド真ん中、もうたまりません。
素朴な舞曲風の中間部はヴァインベルグにしては明るく穏健、カデンツァを経て最後に哀愁のメロディが戻ってくる19分。
「協奏曲」と呼んでも良い、充実の傑作です。

「綺麗で聴きやすいけどあたりさわりがなさすぎるんじゃ?」と思わないでもありませんが、これが作曲されたのは1949〜53年。
ユダヤ人嫌いのスターリンににらまれ、冗談でなく命の危険にさらされていた時期。
ヴァインベルグさん必死で、国策「社会主義リアリズム」に沿う、わかりやすく聴きやすい作品を書き続けていたわけです。
そう思って聴くと、なにやら心境複雑ですが、曲自体はいたって美しいです。

 チェロと管弦楽のための幻想曲 より
 

ところが作曲者は、この曲を完成した1953年に、身に覚えのない国家反逆罪で逮捕されてしまいます。
国家反逆罪の場合、良くてシベリア流刑、悪くすると銃殺が相場でしたが、
なんと2週間後にスターリンが急死。
あっさり無罪放免になったというから、ある意味運の強い人です。
しかし生きた心地しなかったでしょうな。

ヴァインベルグは、チェロ関係にいい曲が多いです。
「チェロ協奏曲 作品43」も好きですねぇ。


フルート協奏曲第2番 作品148 (1987)
フルート協奏曲第1番 作品75 (1961)
第2番の第3楽章では、グルックの「精霊の踊り」、バッハの「組曲第2番」などが断片的に引用され、けっこう遊んでいます。

第1番はスケルツォ風の第1楽章、沈鬱なパッサカリアの第2楽章(絶美!)、ワルツ風の軽やかでくねくねした第3楽章からなり、
もしショスタコーヴィチがフルート協奏曲を書いていたら、こんな作品になっていたかも、と思わせます。
プロコフィエフの2曲のフルート協奏曲にも負けない、ハイレベルで親しみやすい作品です。

 フルート協奏曲第1番
 

クラリネット協奏曲 作品104 (1970)
25分を越える大曲。
クラリネットもう大忙し、最初から最後まで吹きっぱなしです。
なにやらぺらぺらしゃべりまくるクラリネットに、
弦楽が「なるほどなるほど」「それからどうした」と合いの手を入れてゆくような曲です。


4曲の中では、「チェロと管弦楽のための幻想曲」「フルート協奏曲第1番」が素晴らしかったです。
しかしヴァインベルクの本質はやはり交響曲。
これからヴァインベルグを聴こうとおっしゃる物好きな、もといゲテモノ好きな、もとい好奇心旺盛な方は交響曲第5番交響曲第6番から聴かれるのがいいんじゃないかな。


(08.7.6.)

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