ヘンデル/ハープシコード組曲第1〜4番
(グレン・グールド独奏 1972録音)



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グレン・グールドがオルガンを使ってレコーディングした唯一のアルバムが、1962年録音のバッハ「フーガの技法」(名盤!)。

そして、ハープシコードを使った唯一のレコーディングが、このヘンデル「ハープシコード組曲」です。
なんでも愛用のピアノが搬送中に壊れてしまい、しかたなくハープシコードで録音したんだとか。

 「フーガの技法」が堂々たる名盤なら、このヘンデルは隠れた珍盤。

一聴、奇妙な音色に耳を奪われます。
えーと、これって、ハープシコードですよね? ハープシコードってこんな音色でしたっけ?
70年代に流行した、ムーグ・シンセサイザーかと思いましたよ。
当時はピリオド楽器がなかったので、モダン楽器を使っているわけですが、それにしても不思議な音。
あまりの奇妙さに、宇宙的なファンタジーすら感じてしまいます。

 ヘンデル:組曲第1番
 

そして演奏のメカニカルな凄さ。
強弱のニュアンスがつけられないハープシコードだからこそ、かえってグールドの正確無比なテクニックが際立ちます。
曲の対位法がくっきり浮かび上がり、速い曲は鳥肌もの。
鼻歌もあちこちで聴かれ、慣れないハープシコードを弾きながら、グールド氏ノリノリのご様子。

ただし、ヘンデルの曲を味わうには不向きと言わざるを得ません。
グールドの個性とテクニックとミョーチキリンな音を面白がるためのアルバム。
しかし一度聴いたら忘れられない、強烈な印象を残すは必定。
やっぱりグールドは偉大だなあ。

ちなみに、ヘンデル「ハープシコード組曲」を普通に楽しむんだったら、ソフィー・イエーツのCDとかがいいと思うよ!

(2016.4.30.)


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