J・S・バッハ/ヴィオラ・ダ・ガンバ・ソナタ集
(ビルスマ:チェロ・ピッコロ ファン・アスペレン:ポジティヴ・オルガン)




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HMV : Bach Sonatas for Viola da Gamba icon



チェロが修理から戻ってきました。
長かったなあ〜、二週間以上かかりました。

修理前は指板がネックからはがれて、浮いていたのですが、
戻ってきた楽器を見ると、「ボクたち、もう二度と離れ離れにならないよ!」と言わんばかりに、しっかりくっついています。
よしよし、もう離れるんじゃないよ。

さあ、練習再開です。
二週間以上も楽器に触っていなかったので、妙な感じ。
調子が出ません、やはり下手になったかな。

家族に言うと、「もとから下手だよ」 「修理中は静かだったなあ」 「くれぐれも子供の勉強の邪魔にならないよーに」
暖かい励ましの言葉が返ってきました・・・・・

 誰かボクに防音室めぐんでください!



さて、J・S・バッハ「ヴィオラ・ダ・ガンバと通奏低音のためのソナタ」を3曲書いています(BWV1027〜1029)。
バッハの作品としては、あまり知られていない部類です。
しかし、このビルスマアスペレンの演奏を聴けばあらびっくり、
「これほどの名曲だったのか!」と叫んで踊って走りだしたくなることうけあい(←アブナイ人)。

ただしこの録音、ちょっと風変わりです。

そもそも、「ヴィオラ・ダ・ガンバ・ソナタ」でありながら、あえてヴィオラ・ダ・ガンバは使ってません

「一体どういうことだ!」 「曲名に偽りあり!」と場内騒然、
「責任者出てこい!」という声も上がっているようですがまあまあ落ち着いて。
ヴィオラ・ダ・ガンバでなく「チェロ・ピッコロ」という、小型で弦が5本の珍しいチェロを使用しているのです
(バッハの無伴奏チェロ組曲第6番は、本来チェロ・ピッコロのために書かれたと言われています)。

この思いきった起用が大正解!
ヴィオラ・ダ・ガンバの渋い音も確かに良いですが、
この曲にはチェロ・ピッコロの軽やかで明るい音のほうがふさわしい気がするのです。

また、普通ならチェンバロで演奏される通奏低音には、ポジティヴ・オルガン(移動式のオルガン)を起用。
この抜擢がまたまた大正解!
なんという暖かくて優しい音。
通奏低音がリズムでなく旋律として浮かび上がり、チェロ・ピッコロとからみ合い混ざり合い、
曲全体をふんわり包み込んでとろーりとろけて、極上のスイーツのようなあま〜い響き。

 ソナタ ト短調 BWV.1029 から第1楽章
  (名曲!)

すでに別の演奏でこの曲をご存じの方も、一度は聴いていただきたい素敵なコラボレーション
冬の夜に聴いてると、部屋の空気を優しく暖めてくれるような気さえします。

「寒い夜は、音にくるまろうよ」(1970年代のオーディオの広告コピーより)

(10.11.29.)

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