ビルスマ/17世紀のチェロ音楽
(アンナー・ビルスマ ほか 1988録音)



Amazon : 17世紀のチェロ音楽


2019年7月25日、バロック・チェロ奏者 アンナー・ビルスマが亡くなりました(1934年生まれ 享年85)。
生で聴くことはかないませんでしたが、CDではお世話になりました。
とくに古楽器団体「ラルキブデッリ」を率いたアルバムはどれもサイコーに刺激的、
聴きなれたはずの曲が全く違う装いで現れるたびに、新鮮な驚きと興奮を感じたものです。


この「17世紀のチェロ音楽」は、ビルスマのディスコグラフィーでは地味な一枚ですが・・・

 「チェロ独奏曲の歴史はバッハの無伴奏チェロ組曲から始まると思ったら大間違いなんだからねっ!」

とばかりに私の耳を張っ倒してくれた思い出深いCDであります。

バッハやヴィヴァルディ以前にこれほど素晴らしいチェロ作品が存在した、
というかこれらの作品があったからヴィヴァルディのチェロ・ソナタやバッハの無伴奏が生まれたのだということを教えてくれる説教臭い・・・
もとい全然説教臭くありません、つぎつぎに素晴らしい曲が登場して退屈する暇もない名盤です。

 フレスコバルディ/カンツォーネ第8番
 

取り上げられる作曲家は、フレスコバルディ(1583〜1643)、ガブリエリ(1659?〜1690)、アントーニ(1660?〜1697)、ヤッキーニ(1670?〜1717)の四人。
後ろの二人は名前すら存じ上げない方々ですが、作品はどれも素敵。

ガブリエリとアントーニの「リチェルカーレ」は無伴奏チェロのための作品です。
バッハが無伴奏チェロ組曲を書くときにこれらの作品を知っていたかどうか、興味があります。

 ガブリエリ:リチェルカーレ第4番
 

ビルスマは、これら音楽史的・学術的に貴重な作品をしかつめらしく弾くのではなく、肩の力を抜いて楽しんでいる風情があります。
なかでも無伴奏曲は形式的にも自由というか即興的というか、ぼんやりと夢の流れを浮いたり沈んだりするような雰囲気。
聴くほうもひそやかな音の中に分け入っていく繊細な耳の愉しみを味わいましょう。

 ガブリエリ:リチェルカーレ第1番(このCDの演奏ではありません)
 

(2019.07.28.)


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