ドヴォルザーク/弦楽五重奏曲第2&3番ほか
(ラルキブデッリ演奏) (ソニー SICC 6、国内盤)




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隠れた傑作、弦楽五重奏曲第3番


古楽器による室内楽のディスクをコンスタントにリリースしているラルキブデッリの最新アルバムです。
ここに収められている、ドヴォルザークの弦楽五重奏曲第3番、とても好きな曲なんです。

ドヴォルザークは、交響曲「新世界より」「チェロ協奏曲」が突出して有名。
あと、第8交響曲、弦楽四重奏曲「アメリカ」「スラブ舞曲」あたりが多少知られているものの、
それ以外の作品はあまり熱心に聴かれているとは言えないのでは?

じつはドヴォルザークは、19世紀後半の作曲家の中でも1,2を争うメロディ・メイカーであり、
その最良の面は室内楽作品に最もよくあらわれていると、私はえらそうにも思っています。
弦楽四重奏曲は14曲(「糸杉」を含めれば15曲)も書いているし、弦楽五重奏曲も3曲残しています。
このディスクにはそのうち2番と3番が収められていて、第2番作品77も良い曲ですが、
なんといっても弦楽五重奏曲第3番作品97です。

この曲は、ドヴォルザークがアメリカの国立音楽院の楽長として招かれていた時期の作品で、
作品95が交響曲「新世界より」、作品96が弦楽四重奏曲「アメリカ」、そしてこの曲が作品97というわけで、まさに円熟期の傑作なのです。

第1楽章、のどかな序奏に続いて登場する五音音階の第1主題の、伸びやかでスケールの大きなうたごころの魅力。
人懐こい第2主題も魅力的。

 (このCDの演奏ではありません)

第2楽章は民謡のようなかわいらしいスケルツォ風。

 

第3楽章はゆったりとした変奏曲。その優美な美しさは格別です。

 

第4楽章は民族舞曲のような快活な主題によるロンド。
登場するエピソードもみな洒落ていて、最後は底抜けに陽気な大団円となります。

 

4楽章全てにわたり、美しいメロディが満載です。
この曲があまり知られていない理由は、標題がついていないことと、
弦楽四重奏曲「アメリカ」に、笑ってしまうくらい似ているためではないかと思います。
でも聴かずにすませるには惜しい傑作ですよ〜。 わははは。

この曲、1995年のメロス・カルテット盤(ハルモニア・ムンディ・フランス)以来、良いディスクに恵まれていなかったのですが、
ついに理想の一枚が出た、という気持ちです。
ラルキブデッリの伸びやかで美しい音でこの曲を聴いていると、とても幸せな気分になります。

(02.2.11.記)


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