ハイドン/交響曲第53番ニ長調「帝国」

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どーいうわけか、ハイドンの交響曲第53番「帝国」が異常に大好きなのです。

フランツ・ヨーゼフ・ハイドン(1732〜1809)は、「交響曲の父」として有名で、
生涯に104曲もの交響曲を残しました。
あまりにも数が多すぎるためか、「ザロモン・セット」と呼ばれる第93〜104番の12曲以外は
かなりのクラシック・ファンでも聴いたことがないのでは?

さて、この第53番ニ長調「帝国」、じつは作曲者の生前から大変人気があった曲で、
あちこちで何度も演奏されたのですが、それがかえって仇になってしまったかも。
数種類の異版が存在し、どれが正しい楽譜か、やや混乱状態なのです。
とくに第4楽章は、3種類も存在し、それぞれまったく違う曲、という妙なことに。

しかし、作品としては、晩年の「ザロモン・セット」の12曲に勝るとも劣らないほど素晴らしい曲ですから、とにかく強力におすすめいたす次第。

第一楽章、重々しいラルゴ・マエストーソの序奏に続いて、
ヴィヴァーチェの主部、ホルンとチェロに提示される第一主題は、
単純な分散和音(ドー・ミ・ソ・ミ・ド・ミ・ソ・ミ・ド・ミ・ソ・ミ・ド)ですが、雄大で、「王の主題」の雰囲気。
輝かしい経過部を経て現れる第2主題は優雅かつ高貴で、これは「王妃」でしょうか。
展開部は短調に転じ、曲は俄然、緊張感をまします(おお、帝国の危機か!?)
しかしまたニ長調に戻り、力強い再現部へ。ここでは、第一主題が大胆にカットされているのがかっこいいです。
構成的にも、水も漏らさぬ見事なソナタ楽章。

 

第二楽章アンダンテは、行進曲風の主題による変奏曲。
ハイドンが第二楽章に好んで使用した形式ですが、思わず口ずさみたくなる主題の親しみやすさがチャーミング。

 

第三楽章は、壮麗なメヌエット。

 

そして問題の第四楽章、ヴァージョンA(カプリチオ)か、
ヴァージョンB(プレスト)が演奏されることが多いようです(ヴァージョンCは、偽作といわれています)。
どちらも豪華でにぎやかな音楽です。

 

全体として、いかにも古典派、という感じの堂々たる、輝かしい、立派な交響曲です。

さて「53番フリーク」として、私は現在、この曲のCDを8種類所有しています。

個人的にいちばん気に入っているのは、オルフェウス室内管弦楽団の演奏。
速めのテンポですっきりまとめた、現代的なスリムな演奏です。

また、ブリリアント・クラシックスから02年の3月に出た、アダム・フィッシャー指揮のハイドン交響曲全集の演奏も、とても良いです。
オリジナル楽器のスタイルも取り入れて、軽い、さわやかな解釈です。

(02.4.21.記)

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