ハイドン/チェロ協奏曲第1番 ハ長調
先日、台風15号が西日本を直撃!
大学生の次女はバイトと部活のために下宿先に戻る予定を1日早め、香川から旅立ってゆきました。
案の定、翌日は暴風雨・大雨・高潮の警報が出て、瀬戸大橋は通行止めに。
昨日のうちに出発しといてよかったなあ〜と言ってると次女からLINEが来ました。
「四国、孤島なう」
えーい、孤島がどうしたっちゅうねん!
べ、べつに悔しくなんかないんだからねっ!
「閉ざされた孤島」は、ミステリの舞台にだってなるんだぞっ!
容疑者400万人だぞっ。
さて、孤島で日々チンタラ練習しているチェロですが、一応バッハ/無伴奏チェロ組曲・第5番の最後まで到達しました。
といっても正しく弾けるわけではありません、第5番まで一通り練習はしました、というレベル。
人様にお聴かせなんぞできません。
ちょっとでも聞き苦しくないように、第1番からシコシコ復習しています。
これからもずーっと練習しなきゃです、だぶん死ぬまで練習です、一生遊んでも遊びきれないゲームソフトを手に入れたような気分です。
さて第5番の次は第6番だろうと思われるでしょうが、先生曰く、
「第6番はプロでも難しいので、このまま進むのはちょっと無理ですね」
まあ、第5番も無謀と言われたもんなあ。
「ハイドンのチェロ協奏曲第1番をやりましょう」
「協奏曲? えーと、オーケストラのチェロ・パートを練習するんですか?」
「んな馬鹿な、独奏チェロをやってください!」
「ひええ〜」
私ごときが恐れ多くも協奏曲のソロ・パートなんぞ練習して良いのでしょうか、神の怒りが下らないでしょうか?
まあでも以前から好きな曲なので嬉しいです。
さっそく楽譜を買ってきて譜読みしてますが、当然ながら難しい。
チェロの楽譜は普通はヘ音記号ですが、随所でハ音記号(テノール記号)、ト音記号が乱れ飛び、わけわからんことになってます。
おまけに途中から親指ポジションの嵐、指使いがほとんど曲芸じゃないすかこれ?
先は長そう・・・。
ハイドン/チェロ協奏曲第1番 ハ長調は、永らく紛失したとされていましたが、1960年ごろに再発見されました。
あっという間にチェロ協奏曲の重要レパートリーとなったのはやはり傑作ゆえ。
元気溌剌な明るい曲であり、やわらかくのどかな雰囲気の第2番とは好対照。
比較的初期の作品といわれ、バロックぽい雰囲気も感じられます。
ハイドン:チェロ協奏曲第1番 第3楽章より
手持ちの盤の中でお気に入りは、
ポール・トルトゥリエ盤(1981録音)
円熟の巨匠の手になる、気品と余裕に満ちた演奏です。
良い意味でリラックス、楽しんで弾いている空気感がグッド。
落ち着いたテンポによる、端正かつ的確な解釈は、お手本に好適。
ジャクリーヌ・デュ・プレ盤(1967録音)
激しいです、火の玉のようです、デュ・プレはいつも全力です。
表現したいことが身体の中にあふれかえっているんだろうなー。
ぶっとい低音、伸びのある高音、重厚な和音。
これが22歳のうら若き女性の演奏なんだからびっくりです。
やはりデュ・プレは別格です。
ソル・ガベッタ盤(2009録音)
古楽器アプローチによる繊細で優雅な演奏。
通奏低音も加わりバロック・テイストがちらほらするのも魅惑的。
テクニックは切れ味抜群ですが、なんといっても音が美しい、そして明るい。
太陽のように暖かみがあり、しかも軽やかな歌いっぷりに、ほっこりしてしまうのです。
ハイドン:チェロ協奏曲第1番・第1楽章より(ソル・ガベッタ)
ハイドン:チェロ協奏曲第1番・第3楽章(ソル・ガベッタ)
なお、ガベッタ盤にはモーツァルトのフルート協奏曲第2番をチェロで演奏したものが収録されていて、なかなか面白いです。
しかしこれ聴いていると、「なんでモーツァルトはチェロ協奏曲を書いてくれなかったんだよ〜」と思わずにはいられません。
これは世界のチェロ愛好家の共通にして永遠の嘆きであります。
べ、べつに悔しくなん・・・・・・・やっぱり悔しいよー!
(2015.08.30.)
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