ハイドン/交響曲第44番「哀悼」
第45番「告別」、第49番「受難」

(トン・コープマン指揮 アムステルダム・バロック・オーケストラ 1984年録音)


Amazon.co.jp : Haydn: Symphonies Nos. 44, 45 & 49

HMV : Haydn/Symphonies 44,45,49 icon


ザ・ダークサイド・オブ・ハイドン

大作曲家ヨーゼフ・ハイドン(1732〜1809)。
今年は没後200年のメモリアル・イヤー。

しかしハイドンさん、どう見ても後輩であるモーツァルト、ベートーヴェンより影が薄い。

「パパ・ハイドン」「交響曲の父」などと呼ばれてますが、親しみやすく温厚なイメージから、
かえって「人畜無害」「何を言っても怒らない」「いいお友だちでいましょう」と、軽んじられがちです。

たまにはキレたり暴れたりしたほうが良かったかもしれませんねー。

また生涯の大半をエステルハージ公の宮廷楽団で過ごし、楽長として公の信任厚かったことも、
「雇われ職人作曲家」「サラリーマン体質」「親方日の丸」的小市民イメージにつながってるかも。

公の死後、リストラされてから心機一転、興行師ザロモンと組んでロンドンに進出、
大成功して巨万の富を築くという、意外にベンチャーな面もあったんですけど・・・。

まあ確かにモーツァルトやベートーヴェンのような、「窮乏のすえ若死に」とか、「耳を侵されて遺書を書く」みたいな
ドラマティック要素が若干少ないことは事実であります。

作品も名曲・傑作数あるものの、「疾走する悲しみ」とか「苦悩を経て歓喜へ」といった
キャッチーなコンセプトには欠けますからねぇ。

しかしハイドンにも、暗く激しくドラマティックな作品を次々に書いた「疾風怒濤期」と呼ばれる時期があるのです(1765〜75年ごろ)。

104番まであるハイドンの交響曲中、短調作品は11曲しかありませんが、そのうち6曲がこの時期に集中しています。
このCDは、「疾風怒濤期」の短調交響曲、それも標題つきのものばかり3曲をまとめた一枚です。

 第44番ホ短調 「哀悼」
 第45番嬰ヘ短調 「告別」
 第49番ヘ短調 「受難」


なんかもう悲劇の連続みたいなインパクトある標題のつるべ打ち。
実際、緊迫感に満ち溢れた深い音楽ばかりです。
オリジナル楽器による、アクセントを強調した演奏が拍車をかけます。

 交響曲第44番「哀悼」第1楽章
 

第45番「告別」は、
「エステルハージ公が楽団員をなかなか家に帰してくれないので、
一計を案じたハイドンが、フィナーレのあとに各奏者が順次立ち去る演出を工夫して云々」
というほほえましいエピソードが有名ですが、そこまでの音楽は緊張と悲壮感に満ちたもの。
だからこそ最後の「告別部分」がまた引き立つのでしょう。

 交響曲第45番「告別」第4楽章
 

ハイドンのデモーニッシュな一面を認識させてくれる好企画、「黒ハイドン」として広くオススメしたい一枚であります。

 交響曲第49番「受難」第4楽章
 

(09.3.14.)




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