先日、「サラサーテ」という雑誌を読んでいて、びっくり仰天した記事がありました。
上海カルテットが、往年の名カルテット、イタリア四重奏団について語っているのですが・・・。
(以下引用)
「(イタリア四重奏団は)いつもおどろくほどブレンドしていた。そういう彼らの哲学だったんだ。
でも、そんな他に例を見ないブレンドの仕方ができる彼らは、これがまた他に例を見ないほど仲が悪かった。
というのも、第2ヴァイオリンの女性がカルテット内の2人と次々に結婚したんだ。」
「いや彼女は結局、3人共と順番に一緒になったんですよ。
3人目に行き着いたころには、一人目の夫はリハーサルに拳銃を持って行ったって聞きました。」
「ヴィオラ奏者が胆嚢の手術で入院している間に、何と他の3人は相談して違うヴィオラ奏者を雇ってしまった。
もともとのヴィオラ弾きが退院したときには、『新しい奴を雇ったから、君にはもう用はない』ってわけ。
でも、3人は新しいヴィオラ奏者を雇うに当たって、ひとつ大事な質問を忘れていた。
そう、この人は飛行機恐怖症で、アメリカにもアジアにも全然行けないってことがすぐに判明。
じゃあ仕方ないから、もとのヴィオラ氏に戻ってくれと頼むと、怒っている彼は公文書で謝れと要求したんだって。
でも3人は断って、世界的名声のあるイタリア弦楽四重奏団はあっけなく解散!」
(雑誌「サラサーテ」 2010年 04月号 20ページ)
はあ〜、あのイタリア四重奏団に、そんなことがあったとは・・・。
イタリア人って、なんか凄い・・・。
情が濃くって血の気も多いんだな・・・。
わけもなく「負けた」と思いました。
なお上海カルテットのメンバーの一人は、
そのイタリア四重奏団の女性奏者(エリーザ・ペグレッフィ)が使っていたヴァイオリンを、現在所有しているそうです。
さて、イタリア四重奏団のCDといえば忘れられないのが、
若きポリーニとともに録音した、ブラームスのピアノ五重奏曲。
あと、イタリア四重奏団単独のCDで、現在いちばん入手しやすいのは、このハイドンでしょうか。
彼らの最盛期の録音で、ハイドンの弦楽四重奏曲の名作(標題つきのものばかり)を4曲収めています。
偽作(じつはホフシュテッターの作品)である「セレナーデ」が収録されているのも、今となっては貴重。
ハイドンの弦楽四重奏曲入門にも最適な一枚です。
「ひばり」第1楽章
伝ハイドン「セレナード」
全編のびやかで明るい歌に満ち、晴れがましい気分になります。
私生活で仲が悪くても、演奏はなんという素晴らしさ・・・。
音楽家っていうか人間って不思議ですねえ。
(イタリア四重奏団の解散は1979年だそうです)
(10.6.29.)