ハイドン/ピアノ・ソナタ第46&19番
(イーヴォ・ポゴレリチ  1991年録音)




Amazon.co.jp : ハイドン:ピアノ・ソナタ第19番&第46番

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ヨーゼフ・ハイドンが、52曲ものピアノ・ソナタを残していることは、意外と知られていません。
モーツァルト(17曲)やペートーヴェン(32曲)より、ずっと多いのですが。
一生懸命書いたのに、気の毒なヨーゼフです (あ、いま「アルプスの少女ハイジ」の犬の顔が脳裏に)。

決して、曲がつまらないわけではありません。
きっと、タイトルがついた曲がないせいです。
何曲か見つくろって、「恋人よ」とか「あの日に帰りたい」とか「さくらんぼ」とか、適当にタイトルつけとけばもっと売れたのにね (え、センス古いっすか?)。

「わかった、それならイッチョ聴いてみよう」と思われた、そこのアナタ、いいCDがありますよ〜。
個性派ピアニスト、イーヴォ・ポゴレリチのCDで、一番気に入っている一枚です。

ソナタ第46番変イ長調
可憐な第1楽章、線香花火が輝きはじける様子を連想します。
透明な音の粒が乱れ飛び、華やかでありながらひそやかであり、一抹の寂しさすらただよいます。 
微妙なニュアンスを透明な音色と多彩な表情で描くポゴレリチ、単純で小規模な曲なのに、なんという深くて大きな演奏。 

 第1楽章
 

第2楽章アダージョは、遅めのテンポでじっくりと噛み締めるように。
でも全然だれません。 小さな川を流れる水を、静かに眺めているような瞑想的気分。

第3楽章は、色とりどりの玉が転がったりぶつかり合ったりしているような、賑やかな音楽。
弾むリズム。輝く音。躍動と流麗。優雅と洗練。(・・・わかったようなわからんような感想だな)

第19番ニ長調も、良い曲です。
とくに第2楽章アンダンテのピュアな叙情は胸キュンもの。
シンプルな曲ですが、なんだこの深さは、大きさは・・・。

 

第3楽章の活発でありながら繊細精妙な「音の遊戯」にも魅了されます。
華やかで忙しい曲だけど、まったくうるさくありません。

 


「とにかくガンガン、ハデッちく弾いとけば拍手喝采だぜー!」

みたいなのとは対極に存在するピアニストであり演奏です。

聞くところによると最近のポゴレリチの演奏、ますます渋みを増して、ほとんど修行僧のような味わいだとか。
黙々とわが道を行く異能の天才に幸あれと祈りたいです。

(07.3.20.)


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