ハイドン/交響曲第103番「太鼓連打」&104番「ロンドン」
(カラヤン指揮 ウィーン・フィル)




Amazon.co.jp : ハイドン:交響曲第104番《ロンドン》&第103番《太鼓連打》



我が家の娘たちも中3と中1、人並みに色気づいてまいりました。
こないだも夕食時に「どんな人とは結婚したくないか」という話になりました。


長女「やっぱり髪の毛が薄い人はイヤだ」

「こっち見ながら言うな」

次女「私は酒飲みもイヤ」

「だからこっち見ながら言うな。 こら指差すな!
  でも、父さんは酒は飲むけど煙草は吸わんぞ」

長女「確かに。 うん、ヤニ臭い人は絶対イヤ」

次女ヤギ臭い人?」

アルプスの少女ハイジペーターかっ!」


・・・どうやらムスメたちは、父親に似た男性とは結婚したくないようです。
まあ遺伝形質の多様性を確保するためには、そのほうが望ましいのであります。
(負け惜しみ)


さて、クラシック界で「お父さん」といえば、今年没後200年の交響曲の父・パパ・ハイドンですね。
ハイドンの交響曲には傑作たくさんありますが、トリを飾るこの2曲はやはり別格か。


 交響曲第103番「太鼓連打」&104番「ロンドン」


威厳ある開始、緊密な構成、魅力的な主題群、そして明るく楽しい曲調。
どちらも娯楽音楽の理想型であると同時にすばらしい芸術音楽であります。

「太鼓連打」
第一楽章で、冒頭の太鼓連打につづいて出てくる重苦しい序奏主題(0:07)。
この主題が主部(3:00〜)では第一主題に続く経過部で軽妙でおどけたメロディに姿を変えて(3:50)第二主題を導くなど、
まさにハイドン・マジックと呼びたい鮮やかな技が炸裂。
「え、あのメロディがこんな姿に!」と思いますね。
普段はイカメシイお父さんが、宴会で腹踊りを踊っている写真を見つけちゃった、みたいなインパクトが(←おおげさ)。
コーダでは太鼓連打+序奏主題を重々しく再現(8:27)、突然その変形によるおどけたメロディ(+第一主題)で楽章を閉じるという種明かしみたいな終わり方も洒落てます。

 

第2楽章はいかめしい短調のメロディで始まりますが、暗くはありません。
ほんとはやさしい人だけど、わけあって鹿爪らしい顔しているんですこの人は、みたいな感じでちょっとユーモラス。

 

おおらかで豪快な第3楽章メヌエット。

 

せかせかした動きが可愛らしい第4楽章アレグロ・コン・スピリート。

 

いやあ、本当に聴いて飽きない曲です。


「ロンドン」
第一楽章、重々しく壮麗な序奏と華麗で軽快な主部の対比がスンバラシイです。
一分の隙もない完璧な音楽で、次々と魅力満載なフレーズを繰り出し一瞬の弛緩もありません。
まさに必殺のアレグロ、最高純度的音の構築物

 

第2楽章以下も、筆舌に尽くしがたい素晴らしさなのでこれ以上もう書けません(←手抜き)。


いやあ、さすがはハイドンの最高傑作であります。
この2曲をカップリングした名盤はたくさんありますが、私が好きなのはヘルベルト・フォン・カラヤンウィーン・フィルを振ったもの(Londonレーベル)。
1959年と63年の録音です。

カラヤンは1981年〜82年には、ベルリン・フィルとも録音しています(DGレーベル)。
やわらかで木目の細かい旧盤、ツヤツヤでメリハリある新盤、どちらもすばらしいのですが、
ウィーン・フィルとの旧盤は、私にとってこの2曲の「刷り込み演奏」であるという単純な理由からイチバンです。

まあ、演奏の好みなんて、そんなもんです。

(09.8.13.)

 

その他の「ハイドン」の記事
ハイドン/交響曲「哀悼」「告別」「受難」
ハイドン/交響曲第53番「帝国」
ハイドン/交響曲全集(アダム・フィッシャー指揮)
ハイドン/チェロ協奏曲第1番
ハイドン/弦楽四重奏曲「ひばり」「セレナード」「五度」「皇帝」(イタリア四重奏団)
ハイドン/弦楽四重奏曲選集(アマデウス・カルテット)
ハイドン/ピアノ・ソナタ第46&19番(ポゴレリチ独奏)
ハイドン/6つの後期のピアノ・ソナタ(グールド独奏)



「音楽の感想小屋」へ

「整理戸棚」へ

「更新履歴」へ

HOMEへ