サマセット・モーム/ジゴロとジゴレット モーム傑作選
Somerset Maugham/Gigolo and Gigolette
(金原瑞人・訳 新潮文庫 2015)



Amazon.co.jp : ジゴロとジゴレット: モーム傑作選 (新潮文庫)


避暑地でダイエット中の中年女三人組を、スレンダーな女友達が訪ねてきたことで起こる仲間割れ。
結核療養所で死を見つめる患者同士の心のふれあいといたわり。
占領軍のドイツ兵の子を身ごもったフランス人女性の気丈。
政治家が精神科医に告白する摩訶不思議な悪夢。
カジノで危険な芸をみせて生計を立てる夫婦の悲哀。
味わいと機知に彩られた大人の短編小説集、その極致を新訳で愉しむ。


いま、巷ではサマセット・モーム(1874〜1965)が「来て」いるのでしょうか?
11月10日には、ちくま文庫から「片隅の人生」という長編が出るし(読んだことないから楽しみ)、ちょっと前には新潮文庫から短編集が新訳で出ました。

 サマセット・モーム/ジゴロとジゴレット モーム傑作選

短編が八本収められていますが、すべてヨーロッパを舞台にした作品であり、
モームのもう一つの舞台である「南洋もの」『雨』とか『赤毛』とか『マッキントッシュ』とか)は含まれません。
読んだことのある作品が多かったですが、新訳ということもあり買ってみました。

 最高でした!

「モーム傑作選」どころか、「ザ・ベリー・ベスト・オブ・モーム」といっても良い見事なセレクション。
皮肉な笑いに満ちた作品、シリアスな作品、ホロリとする作品、奇妙な味のホラーっぽい作品など、様々な趣向がちりばめられ多彩。
人間の多面性・多様性を生涯にわたって描き続けたサマセット・モームの世界を1冊で俯瞰できます。
巧みなストーリー、活き活きした登場人物、洒落た会話、切れ味鋭いオチ。
昔読んだことのある作品も面白く読めました!(←内容忘れてたな)

とくに登場人物の冷静で皮肉に満ちた描写!
「アンティーブの三人の太った女」という身も蓋もないタイトルの短編でのアクの強い女性キャラの描き分けとか、
「良心の問題」での妻を殺した男の善良かつ真面目そうな様子とか(かえって怖い)。

もしこの本が楽しめなかったとしたら、それは先天的・根本的にモームに対する適性がない人でしょう。
それは、べつに悪いことではありません。
「人には様々なタイプがある」ことをモーム先生は繰り返し語っておられます。

それにしても、そろそろ「剃刀の刃」が新訳で出てくれないかなあ。

(2015.11.9.)


同じ人間の中には、卑小さと偉大さ、意地悪と親切、憎悪と愛情が混然と同居している
(サマセット・モーム)


「本の感想小屋」へ

「整理戸棚」へ

「更新履歴」へ

HOMEへ


「いろりばた(掲示板)」へ

コメントはこちらにどうぞ